2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞を標的とした多分子認識応答性核酸アプタマーナノキャリアの創出
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26882055
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森山 塁 関西大学, 先端科学技術推進機構, PD (60737518)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 核酸アプタマー / ドラッグキャリア / 分子認識 / 生体適合性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞およびその周辺において過剰発現している分子を標的とした様々な分子標的薬が開発されている。しかしながらそれらの分子は正常細胞でも少なからず発現しているため、1つの分子のみを標的した場合正常細胞にも薬剤が到達してしまう。本研究では2種類以上の標的分子に応答することで薬剤を放出可能な核酸アプタマー架橋型ナノゲルの構築を目指す。本ナノゲルは薬物内包キャリアとしてだけでなく、従来よりも精度の高い一塩基変異識別や疾患マーカー検出といった様々な検出ツールとして応用可能であると期待できる。 26年度は核酸アプタマー修飾リン脂質ポリマーを合成し、1種類の標的分子に応答し内包物を放出する核酸アプタマー架橋型ナノゲルの調製を目指した。標的分子として、がん患者において過剰発現しているトロンビンを選択し、トロンビンDNAアプタマー修飾リン脂質重合体および部分的相補鎖DNA修飾リン脂質重合体を合成した。この2つの重合体を混合することで核酸アプタマー架橋型ナノゲルを調整可能であることも示した。さらに本ナノゲルの架橋点である二重鎖DNAに蛍光試薬をインタカレートさせた試料にトロンビンを添加することで、蛍光試薬がナノゲルから放出可能であることも明らかにした。しかしながら、2分子に応答するナノゲルの調整までには至らなかったため、27年度で多分子認識可能なナノゲルの調整を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりも遅れているものの、26年度において本研究の最大のポイントである標的分子に応答し内包化合物を放出可能な核酸架橋型ナノゲルの調整に成功している。これにより、27年度では標的分子を2種以上に増やすことで、より分子選択性の高いナノゲルが生成可能であると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度はトロンビンに対する核酸アプタマーおよび血管内皮細胞増殖因子に対応する核酸アプタマーを用いることで、2種類の分子に応答可能な核酸アプタマー架橋ナノゲルの構築し薬剤の放出試験を行う。さらに白血病がん細胞(CCRF-CEM)を用い、in vitroでの薬剤放出試験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)