2014 Fiscal Year Annual Research Report
児童を対象とした「安全に転ぶ」動作の習得を目指したGボール運動試案
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26882057
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Research Institution | Tokoha University Junior College |
Principal Investigator |
田村 元延 常葉大学短期大学部, その他部局等, 助教 (60736685)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 体つくり運動 / Gボール / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Gボールを「体つくり運動」教材として活用するために,安全指導の観点から指導方法の開発及び指導を行い,「安全な転び方」の動作習得状況を検討することで,Gボールの安全に関する指導方法を構築するための知見を得ることを目的とした. こうした目的を達成するために平成26年度の研究計画は,課題1:Gボールの「安全な転び方」の定義,課題2:Gボールにおける「安全な転び方」の習得に関する指導プログラムの開発であった. 課題1では,筆者らが2010年に実施した児童対象のGボール指導及びバランス能力測定の記録映像を用い,Gボール活動中における転倒実態調査から怪我のリスクの高い状況を想定し,「安全な転び方」の定義を行うことを目的とした.その結果,比較的重心の高い座位姿勢での運動中に後方方向へ転倒する状況に対し,怪我のリスクが高いと判断した.さらに,「Gボール上でバランスを崩した際」や「ボール上から落下し,着床した際」の対応方法にも課題があることが明らかとなった. 課題2では,課題1の知見を基に,後方への転倒リスクが低い状況で「Gボール上でバランスを崩した場合」や「ボール上から落下し,着床した場合」の対応動作を検討すると共に,その動作を習得するための運動課題を考案することを目的とした.その結果,Gボール上でバランスを崩しても「ボールの転がりに合わせ,体幹をGボール上に乗せる動作」や「着床時に体幹を円背にし,転がるように転ぶことで着床時の衝撃を緩和させる動作」を習得するための運動課題を試案した.具体的には,縄,マット,平均台などの用具及び器具とGボールを組み合わせた補助的な環境である. こうした研究成果は,これまで言語や人的補助により安全指導を行ってきたGボール指導において,物的環境の中で児童がより自立的に課題に取り組み「安全な転び方」を習得する新しい指導方法を示すものであると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究の成果として,児童のGボール活動中における転倒実態調査から縄,マット,平均台といった器具及び用具とGボールを組み合わせたGボールの「安全な転び方」習得に関する運動課題を試案した.この点では,本年度の研究計画をある程度,達成できたといえよう.しかし,今後,「安全な転び方」の習得を目指す実践指導を行っていく上で,試案した各運動課題をどのように位置付け,段階的な指導プログラムとして体系的にまとめていくのかという点で課題が残っている. また,平成27年度の研究計画は,課題3:Gボールにおける「安全な転び方」の習得に関する指導プログラムの実践と検討である.そのため実践後に,指導プログラムの検討を行う上で,「安全な転び方」の習得を評価する基準の作成も急務な課題といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については,まずは,Gボールにおける「安全な転び方」を習得するための指導プログラムを体系的にまとめることである.その課題点としては,これまですでに実践されている「重心の低い運動から高い運動へ段階的に移行する」といった実践理論や「人的補助を用いた運動課題」と今回,試案した運動課題をどのように組み合わせて体系化するのかという点である.その方策として,今後,これまで既存の運動課題と新たに考案した運動課題の長所及び短所を明らかにし,段階的に「安全な転び方」の習得が可能となる指導過程を検討することが挙げられる.さらに,こうした検討に加え,「安全な転び方」の動作に関する評価基準の作成も同時に行う.具体的には「Gボール上でバランスを崩した場合」や「ボール上から落下し,着床した場合」の局面ごとに観察的に動作を評価できる基準の作成を検討している.特に着床時に,「頭部が着床していないか」などの観点を点数化し,簡易的に「安全な転び方」の習得状況を評価できるようなものである. これらの作業過程を終了した後,開発したプログラムの実践及び検討を行う予定である.現在,実践先は静岡県内における児童対象のスポーツ教室を予定している.今後,さらに静岡県内の複数の小学校に依頼を行い,実践先を確保する予定である.
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