2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本・中国における戦争遺構のツーリズムに関する比較研究
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26883007
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
楊 小平 広島市立大学, 国際学部, 客員研究員 (30736260)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 戦争遺跡の観光 / 戦争記憶の表象 / ダークツーリズム / モノの人類学 / 戦争体験の継承 / 集合的記憶 / 個的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、2年間にわたる本プロジェクトの初年度として、主に先行研究の整理、調査地に関する文献資料の収集、日本国内における研究対象の現地調査という三つの内容を中心に、研究活動を行ってきた。 先行研究に関して、戦争体験の表象と戦争遺跡の保存・展示をめぐって、戦争記憶論、博物館展示研究、「廃墟」に関する論考、戦争遺跡の観光に関する研究、ダークツーリズム論、モノの人類学等の理論及び事例研究に関する日本語、英語、中国語の文献を網羅的に整理した。調査地に関する文献資料の蒐集については、中国の南京、重慶、大連、日本の広島、沖縄、長崎とのそれぞれの調査地域、特に、中国侵略日本軍南京大虐殺遇難同胞記念館、広島平和記念資料館、長崎原爆資料館に関する観光データ(人数、国別等)を蒐集した。現地調査に関して、本年度では日本国内に重点を置き、東京の遊就館、昭和館、平和祈念資料館等、長崎の原爆資料館及び平和公園、そして広島平和記念資料館及び平和記念公園を対象に職員、ボランティアガイド、見学者等に対するインタビュー調査と参与観察を行い、一次的資料を蒐集した。 さらに、調査活動を進めると同時に、学術論文、研究会参加、講演等を通して成果を公開してきた。具体的には、学術論文1、国際学会における発表4(招待講演2)、日本国内における発表8(招待講演3)、雑誌インタビュー1。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、日本・中国における戦争の遺構や戦争博物館、記念モニュメント等を対象とするツーリズムの実態を調査し、それらの通文化的な比較分析を行うことで、多様な歴史的・社会的要素によって構築される歴史表象の存立構造を明らかにし、日中間の相互理解を阻害する契機を明らかにすることを目的とする。初年度の平成26年度では、先行研究の整理、調査地に関する文献資料の蒐集、日本国内における研究対象の現地調査という三つの内容を計画した。こうした歴史資料及び一時的資料の蒐集を通して、日本と中国における戦争の歴史表象の存立構造を解明するための基礎を築くことができた。そして、次年度における中国における戦争遺跡の観光事情に関する実態調査を行うことで、比較研究につながることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度では、中国における戦争遺跡の観光事情に関する実態調査を行い、日本と中国における戦争遺跡の観光に関する比較的研究を進めていく予定である。 特に、初年度の研究成果を踏まえながら、本の出版及び学術論文の作成、報告書の作成に取組むこと。本計画で行う調査資料は、「民族誌・地方誌」として多様な研究領域において用いられるものに資するものとして考えられ、学術論文の出版だけでなく、日本と中国の人々により互いの歴史への思いと実践を知り合うために、一般読者に向けの図書の編成をはじめ、戦争遺跡と平和に関する観光ツアーの実施を含めて、実践的研究活動を進めていきたい。
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Research Products
(4 results)