2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本・中国における戦争遺構のツーリズムに関する比較研究
Project/Area Number |
26883007
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
楊 小平 広島大学, 学術・社会産学連携室, 研究員 (30736260)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 戦争遺構の観光化 / 戦争記憶の表象 / ダークツーリズム / モノの人類学 / 戦争体験の継承 / 集合的記憶 / 個的記憶 / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本研究計画の最終年度として、主に前年度の調査資料の整理・分析、及び補足的現地調査、研究成果まとめの準備という三つの内容を中心に、研究計画を実施してきた。 まず、広島における原爆遺構のツーリズムとの比較対象として、27年8月に中国四川省における空襲爆撃に関する遺構保存及び観光状況を調査した。次に、観光と儀礼との関係性を考察するため、同12月に南京にて開催された『国家慰霊祭』への参与観察を行った。先行研究の整理と調査資料の分析を通して、中国と日本における戦争遺跡のツーリズムの文化的・政治的・歴史的文脈の特徴を比較することが出来た。とりわけ、(1)戦争遺跡の象徴的意味とナショナリズムの創造との関係性について、それぞれの社会において近い構造が見られた。例えば、「被害」「犠牲」を主要な意味合いとされること、また「継承」という用語は記憶の手法としてツーリズムに強調される、(2)ツーリズムにおける戦争遺跡の消費化・娯楽化がともにみられるが、日本と中国の死生観などの文化的文脈や戦後における戦争観の差異によって異なる特徴が見られた。日本の場合は、死者への敬意と距離感から「祈念」へ、戦争の絶対悪から「平和学習」へといった意味付けにおいて「慰霊の旅」「学びの旅」が多く見られるのに対して、中国の場合、死者との緊密的関係性から「娯楽」へ、抗戦の正義から「愛国教育」へといった意味合いにおいて、「体験の旅」「愛国教育の旅」が多く見られる。(3)世代の差が顕著的に見られた。これに関しては(2)の背景と共通することとなる。更なるより詳細な発見については、別途報告書にて説明する。 また、前年度の調査資料を分析しながら、学術論文、研究集会における報告、講演等を通して、成果を公開してきた。例えば、研究集会における発表5回、公開予定の2つ論文などが挙げられる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)