2014 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国におけるツーリズム振興の担い手となる住民組織の研究
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26883011
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
關野 伸之 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (40730180)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 社会学 / ツーリズム / 水資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ツーリズム産業の進出により、若者の都市流出と農地の喪失が起きているインドネシア・バリ島北部サバ川流域を対象とし、住民主体の水利組織スバックの調整機能を明らかにするとともに、コミュニティの内的変化に対応してきたスバックがツーリズムという外的な変化に対応しうるのか、その可能性を検討し、開発途上国の実情に適したコミュニティ主体のツーリズムを提言することを目的とする。平成26年度の研究活動と成果は、下記のとおりである。 1 ウダヤナ大学のブディアサ講師とともに、スバックの組合長および構成員である農民に聞き取り調査を実施した。その結果、サバ川下流部においてはツーリズム産業の進出により、構成員数が減少しており、共同作業の実施や規則の徹底において障害が生じていることが判明した。また、スバック間の調整機能の欠落により、公正な水分配がなされていない現状が明らかになった。 2 新たに農地を購入しホテルや民宿を建設したツーリズム事業者へのインタビューを実施した。その結果、土地の購入にはスバックは関与せず、買い手と売り手の直接売買がなされており、スバックはツーリズム開発に対し何ら意見を述べることができない現状が明らかになった。 3 スバックの事務所において、土地管理台帳の精査を実施し、土地権利関係の把握に努めた。その結果、土地管理台帳に記載された農地面積と実際にスバック組合長が把握している農地面積には乖離があり、政府の助成金を受けるために畑地が水田として登録されている実態が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水利組合スバックの実態が明確になり、今年度の目標は大きく達成された。その一方、ツーリズム産業の空間把握については位置情報や建設年といった基礎データは取得できたものの、GISソフトウェアを活用した分析にはいたっていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は資源管理において最も大きな役割を果たすべき、スバック間の調整機能を担うスバック連合に焦点を当て、構成員であるスバックの組合長や行政機関における詳細な聞き取り調査を実施する。 ツーリズム産業発展の空間把握については、所属機関である総合地球学研究所の「水土の知プロジェクト」に、昨年度からGIS担当研究員が配置されたため、協力して実施する。
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