2014 Fiscal Year Annual Research Report
新聞メディアからの明治前期思想研究の再検討――福地源一郎を中心に
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26884005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡安 儀之 東北大学, 文学研究科, 研究員 (50732351)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 日本思想史 / メディア史 / 国民国家 / 文明 / 福地源一郎 / 福沢諭吉 / ジャーナリズム / デモクラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明治前期の言論界において福沢諭吉と並び称されながらも、これまで等閑視されてきた新聞記者福地源一郎(桜痴)の思想に光を当てることで、従来の明治前期思想研究やメディア史研究の枠組みに、新たな展望を切り開くことである。今年度は、主に次のような福地関係史資料の収集・整理・分析を行った。 (1)長崎歴史文化博物館、長崎県立図書館、日本近代文学館(福地桜痴文庫)に行き、父子関係史資料や福地が記したノート・日記・未翻刻史料などを調査した。 (2)東北大学附属図書館所蔵『イ(「門」の中に「韋」)記』巻2(狩野文庫)の翻刻作業を行った。 (3)『東京日日新聞』における福地の執筆記事目録データの作成を行った。 (4)福沢や加藤弘之との比較を通して、福地の自治に関する思想の独自性を明らかにした「福地源一郎の自治論―福沢諭吉との比較を中心に―」(『近代日本研究』31、慶應義塾福沢研究センター、2015年2月)という論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、まず福地源一郎研究の基盤を構築し、明治前期思想研究やメディア史研究の見直しをすることにある。スケジュール上、現地調査に当初の計画通り時間をかけることができなかったが、その分史資料の整理分析を進めることができた。以上のことから、「研究実績の概要」でも示したように、今年度の研究計画は概ね達成できており、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、福地関係史資料の収集とその分析を行う。そのため、長崎・東京などへの現地調査や史料の翻刻分析を進める。具体的には、以下のように今年度の研究成果を公開(研究報告・論文・出版)していく予定である。 (1)これまで得た研究成果を公開するため、関連の学会・研究会で研究報告を行い、情報交換や問題意識の共有、そしてその深化に努める。 (2)翻刻作業を終えた東北大学附属図書館所蔵『イ(「門」の中に「韋」)記』巻2(狩野文庫)を、次年度資料紹介として『日本思想史研究』第47号に投稿する。続編の『続イ(「門」の中に「韋」)記』は、現在翻刻作業を進めており、次年度早々に終える予定になっている。 (3)『東京日日新聞』における福地の執筆記事目録を、次年度以降順次雑誌連載する。 (4)新聞記者福地源一郎を中心に、明治前期思想やメディア史研究の再考を促す研究書の執筆。
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Research Products
(1 results)