2015 Fiscal Year Annual Research Report
言語における競合: 形態論と統語論の関係についての新提案
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26884008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西牧 和也 筑波大学, グローバルコミュニケーション教育センター, 特任研究員 (10734189)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 形態論と統語論の競合 / 言語の普遍性と多様性 / パラメーター / 具現形式 / 言語間比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語間の相違をどのように説明するかという問題に対するアプローチの1つとして、Ackema and Neeleman (2004) により競合理論という考え方が提唱されている。本研究の目的はこの考え方に基づき言語間の相違を統一的に説明することである。競合理論によれば、形態部門と統語部門は、抽象的な形態統語構造の音韻具現を巡り競合し、言語は統語的具現を優先する統語優先言語と形態具現を優先する形態優先言語に大別されることになる。競合理論のもと、日英語を比較し、英語を統語優先言語、日本語を形態優先言語と考えることで、日英語間の様々な相違が統語優先言語と形態優先言語の相違として統一的に説明できることが明らかとなった。前年度の研究では、いくつかの構文形の表現形式が英語では句の形式を取るのに対して日本語では複合語の形式をとる(old family vs.「旧家」、to pound the metal flat vs.「叩き延ばす」、 husband and wife vs. 「夫婦」)という対立が競合理論から説明できることを示した。前年度の研究では、このような成果が見られた一方、従来提唱されている競合理論は、明確な理論体系として確立されておらず、諸点に関して明確な定義を要する部分が多々見られることも判明した。今年度は、本前年度の研究成果に基づき、従来提唱されている競合理論に代わる新しい(明確な理論体系を有する)競合理論を確立したうえで、諸現象の分析を行う理論体系の再構築を行い、分析の対象とする現象を拡張した。その結果、談話標識(I tell you, it is raining. vs. 雨だよ。」)、主要部移動などにおける日英語の対立も統語優先言語と形態優先言語の相違から生じるものとして捉えられることが分かった。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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