2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウラジーミル・ナボコフの当時のコンテクストにおける受容研究
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26884012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋草 俊一郎 東京大学, 教養学部, 講師 (70734896)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | アーカイヴ研究 / 受容研究 / 出版 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナボコフと出版、それが受容にあたえた影響という研究目的に沿った、資料の収集、分析をおこなった。11月にテキサス大学オースティン校のハリー・ランサム・センターを訪問し、ナボコフと出版社ダブルデイの編集者ジェイソン・エプスタインや、『アトランティック・マンスリー』の編集者エドワード・ウィークスとの書簡などを調査した。その後、テキサス州サン・アントニオで開催されたASEEESに出席し、ナボコフ関係のパネルに出席し、研究者と交流した。 3月に、シアトルで開催されたACLAに出席し、関連の研究発表を聴講し、研究者と交流し、資料収集をおこなった。上記の調査結果をふまえた論文の執筆をおこなった。 論文“Revisiting Nabokov’s The Defense as a Moral Game: What Made Luzhin Commit Suicide?,"を査読付き学術誌Nabokov Online Journalに投稿し、受理され、8号(2015)に刊行された。また記事"Notes on Nabokov's “Notes on my Father”,”をThe Vladimir Nabokov Societyの会誌The Nabokovianに投稿し、受理され、73号(2014)に掲載された。また、文学作品の翻訳と出版について「ロシア文学翻訳の現在―古典新訳からソローキンまで」というエッセイをnippon.comに発表した(http://www.nippon.com/ja/column/g00239/)。 2月に、東京大学教養教育高度化機構社会連携部門主催の「高校生のための金曜特別講座」にて、アーカイヴ調査の成果を一部盛りこんだ「ウラジーミル・ナボコフの文学――ナボコフ先生に学ぶ小説の読み方、訳し方、書き方」という講義を、一般向けに東京大学駒場キャンパス18号館ホールでおこなった。また、研究成果の発信は、随時自身のブログでもおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハリー・ランサム・センターの収蔵するナボコフ関連の資料については、情報が少なく、研究者もほとんど知らないほどだったが、アメリカのほかのアーカイヴにない、エプスタインーナボコフの比較的初期の書簡など、貴重な資料を閲覧することができた。また、The NabokovianとNabokov Online Journalという北米のナボコフ研究の専門誌に成果を発表することができた。そのうち、The Nabokovianに発表した報告は、アーカイヴ調査の直接の成果(ビブリオグラフィー漏れしていたエッセイを指摘した)ものであり、本研究の重要な成果だと考えられる。また、研究者と交流することで、今後の研究にとって重要な指針をえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、26年度中におこなえなかったニューヨーク公共図書館および、ハーヴァード大学、ボストン大学の各アーカイヴの調査をおこなう必要がある。 平行して、随時成果を公表していくが、26年度は主に英語によって、英語圏の研究者に向けて発表していたので、それを継続しながらも、27年度は日本国内においても、日本ナボコフ協会の大会などで、成果の公表と、周知をおこなう必要があると考えている。
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Research Products
(3 results)