2014 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀前半以前の西部・北部ドイツ語圏におけるカンパンおよびロヒールの受容
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26884021
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
鈴木 伸子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 専門研究員 (60732899)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ロベール・カンパン / ロヒール・ファン・デル・ウェイデン / ネーデルラント / 西部・北部ドイツ語圏 / 初期ネーデルラント絵画 / 美術史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、初期ネーデルラント絵画を代表する二人の画家、ロベール・カンパン(ca.1375-1444)とロヒール・ファン・デル・ウェイデン(ca.1399/1400-1464)の西部・北部ドイツ語圏における受容について、包括的な考察を行うことにある。初年度にあたる本年度は、カンパンの受容を中心に、画像・文献資料の調査収集を行った。①国内において、大学図書館等で研究調査を行い、カンパンの影響を受けた西部・北部ドイツ語圏の作品のリスト化を進めた。国外では、ブリュッセル王立文化財研究所および同研究所付属フランドル絵画センター、ブリュッセル王立図書館等で関連作品の画像資料・文献資料を調査収集した。日本では入手が困難な作品の起源を明らかにするための二次史料や、作品に関する各種の基礎情報を確認するための所蔵機関の目録、研究文献を網羅する雑誌、書籍の収集に努めた。②ベルギーの美術館等で主にカンパンの影響が認められる作品を実見調査し、二次史料や関連文献の収集調査も並行して行った。③①、②で得られた画像資料と文献資料を基に電子データベースによる目録の作成を進めた。④①~③で収集した資料および目録を素材とし、個別作品の制作地・制作年代を検討した。地域ごとにマッピングし、カンパンと比較することで、図像と様式に共通する特徴の有無と展開、およびドイツ語圏おける画家の受容を探求した。⑤①~④までの議論を踏まえつつ、社会的背景や宗教的背景について、分析と考察を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査作業はほぼ予定通りに進んでいる。論文執筆のスケジュールも順調といえる。ただし、平成26年度はベルギーにおける現地調査旅行(ブリュッセル王立文化財研究所、同研究所付属フランドル絵画センター、ブリュッセル王立図書館等)を優先的に組み込む必要が生じたため、26年度に実施予定であった、フランクフルトのシュテーデル美術館、ミュンヘン中央美術史研究所等における研究調査は27年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロセスや調査方法について特に変更はなく、当初の予定通り計画を進める。27年度においてとりわけ重要な実施項目は、ドイツ語圏における現地調査旅行であるが、研究に関連する展覧会企画や業務との関係から、多少の変更が生じる可能性が考えられる。したがって、調査旅行のスケジュールは臨機応変に検討したい。また、海外調査期間が必ずしも予定通りとれない場合を考慮して、海外に所蔵される作品の写真やデータ等については、国内からの収集作業も並行して行っていきたい。
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Research Products
(1 results)