2014 Fiscal Year Annual Research Report
17-18世紀インドにおける海港都市の発展と広域社会秩序の変容
Project/Area Number |
26884026
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 郁子 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80600717)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 南アジア史 / 港町 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は10月から11月にかけてイギリスおよびオランダに出張した。イギリスでは主に大英図書館において、初期のマドラスおよびインド東南岸地域に関係する一次史料について調査し、17世紀後半のイギリス東インド会社によるマドラス発文書を中心にデータの収集に着手した。この時期の現地の政治権力者がイギリス東インド会社に対して与えた勅書等の文書に関しては現物がほとんど残っていないが、今回の調査によってペルシア語版の写しをいくつか確認することができたのは収穫であった。オランダでは、国立文書館に所蔵されている同時代のオランダ東インド会社関連史料のうち、主に17世紀末のインド東南岸の諸港に関係する文書について調査した。これらの英蘭東インド会社関連史料については、その数が多く、また重要な情報が多数の文書の各所に散見されることから、今後も継続して調査・収集する必要がある。 オランダでは、文献調査に加えて、フローニンゲン大学のセミナーにおいて研究発表を行った。その内容は、17世紀半ば以降にインド東南岸の複数の港町において見られた市壁の建設とその役割について、港町の内外に存在した現地社会との関係に注目して比較分析したものである。また、フローニンゲン大学やライデン大学の複数のインド史研究者と今後の研究協力に向けた打ち合わせを行う機会も得た。 今後は史料データの収集・整理を継続するとともに、入手された史料に関する分析を進め、学会発表や論文としてまとめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していたイギリス・オランダにおける一次史料に関する調査で一定の成果があった。また、オランダにおける研究発表および学術交流を通して、今後の研究に向けた多くの示唆を得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度の調査に基づき、イギリス・オランダの図書館や文書館に所蔵されている英蘭東インド会社関連の史料群、ペルシア語写本を中心にデータの入手をさらに進める。なお、大英図書館の史料データについては、研究計画時には主にマイクロフィルムとして入手することを想定し、「その他(現像・焼付費)」の費目として計上していたが、調査時点では図書館側のシステムの関係でデジタル・データとして入手されたため、刊行史料および二次文献の経費とともに、物品費として支出された。そのため、2015年度は史料のデジタル・データ費を物品費として直接経費の内訳を変更している。 ゴールコンダ王国およびビージャプル王国に関わるペルシア語史料を中心に、インドにおいて資料調査を実施する。 入手された史料・文献の整理・読解・分析を進め、研究成果を公表する。
|
Research Products
(2 results)