2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロネシア地域における日本語借用語の流入・変容・衰退の歴史社会言語学的研究
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26884032
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 圭介 長崎大学, 多文化社会学部, 戦略職員 (00732679)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 調査研究 / 資料収集 / パラオ / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは、聞き取り調査の準備として日本語借用語の資料収集、整理、考察を行った。New Palauan English Dictionary (Joseph 1990)を参考にパラオ語の、日本語借用語のリストを作った。辞書にはすべての借用語が収録されていないため、パラオ語で書かれた資料を収集し、その中で使用されている日本語借用語をリストに加える。また、インターネットのブログ、ソーシャルネットワークなどで整理されている日本語借用語も見られるため、それらも収集、整理した。 次に、収集、整理した日本語借用語の音韻変化を一つずつ記述し、その体系を記述考察した。日本語の各音素が各言語の音韻規則に組み込まれる中で、①音素の維持、②音素の新規作成、③音韻の変化が起こる。この点を音環境(語頭、語中、語尾、前後の音など)によって記述し、詳細な規則を明らかにする。加えて、音声調査の準備として、新しく現地語に組み込まれる日本語の音素、綴りが一定しないものを整理した。 グアム大学に行き、Micronesia Area Research Centerを訪問し、そこにあるパラオ関係、トラック関係の資料を集め、借用語の流入や変化の背景情報となる資料を入手した。また、パラオにおいて、整理した借用語について、a)借用語の音声調査、b)借用語の意味用法の調査、c)借用語の維持・衰退、の調査を行った。そしてPalau language Commissionと協働し情報交換を行うとともに、今後の方向性について話し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体の計画としては順調に進んでいる。26年度に予定していた調査もほぼ終えることができた。またPalau Language Commissionとの協働が進み、当初の計画よりも多くの資料が収集できた。
しかし、パラオにおける調査において、当初一人の話者に借用語の音韻調査を予定していたが、調査の段階で世代差が見られることがわかり、予定外に数人に調査をする必要が出てきた。また、借用語の調査も想定よりも時間がかかったため、予定よりもデータの人数が少なくなった。 また、データの整理も若干の遅れが出ているため、ペースを上げて行く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、遅れていたデータ整理をまず行う。そしてトラックでのフィールドワークを中心に研究を行う。夏ごろに、パラオに行き、昨年度の調査の追加調査(借用語の使用状況、音声、意味用法の調査)を行う。また同時期にトラック諸島においてフィールドワークを行い、借用語に関する資料収集とともに、文化的なしきたりや現地民の性格把握、調査対象者探し、関係作りを行う。言語の使用傾向について説明ができる話者に対して長時間の調査を行うため、話者探し、関係作りには時間をかけて行う。
その後、被調査者と連絡を取り合った上で、2回目のトラックにおけるフィールドワークとして、2~3月にパラオで行った調査と同様の調査を行う。 なお、トラック諸島は2015年3月に起こった大型台風の影響が大きく、フィールド調査を控える必要がある可能性がある。関係者と連絡を取り、状況を判断した上で、計画を変更することも考えている。その場合は、ハワイ、グアム、パラオなど近隣の島に住む、トラック諸島民と連絡を取り、彼らに調査依頼をし、研究を遂行していく。
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