2015 Fiscal Year Annual Research Report
奴隷制廃止の世界史的研究―ペルシア湾側アラビア半島を事例にして―
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26884033
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 英明 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80626317)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 世界史 / ペルシア湾 / 奴隷制 / 奴隷制廃止 / インド洋 / 国際関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、奴隷制廃止はそれぞれの国民国家史や地域史の枠組みにおいて検討されてきた。これに対して、本研究は、奴隷制廃止を世界の全域を覆った同時代的な共通体験として捉え、そのうえで、ペルシア湾側アラビア半島(現在のUAE以北)における奴隷制廃止を世界史の文脈において位置づけることを目的とする。 奴隷制廃止の問題について、とりわけペルシア湾側アラビア半島に着目するのは、以下のような事情が存在する。すなわち、従来、世界各地の奴隷制廃止は、イギリスを中心とする西欧社会の強い影響力の下に展開していったと理解されることが多い。確かにこの見解を完全に退けることはできない。しかし、その一方で、例えば、アジアにおける「自由」の概念を問い直すなかで、アジア内の内的発展としての解放を論じる研究も存在する。ペルシア湾側アラビア半島の事例が奴隷制廃止という世界史的共通体験において重要なのは、そこがイギリスのいわゆる「非公式帝国」に組み込まれながら、他の地域で生じたようなイギリスの強い主導の下での奴隷制廃止が実行されず、奴隷制自体は20世紀に入っても存在し続けたという特異な状況があるからである。当該地域の奴隷制廃止については、それそのものを十分に扱う研究もなく、ゆえに、基本的なクロノロジーも十分に整理されていない。そのような状況に鑑み、本研究では、英国図書館をはじめとする複数の文書館での調査を基礎にして、以下の点を解明した。①当該地域の奴隷制廃止に関するクロノロジー、②当該地域に大きな影響を及ぼしたイギリスをはじめとする国際関係の文脈。その成果は、アジア世界史学会(AAWH)などの国際学会での報告、及び、現在、刊行準備の進んでいる論文集への寄稿で社会的還元を行った。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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