2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本語指示詞の運用を中心とした歴史的変化に関する研究
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26884041
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
藤本 真理子 尾道市立大学, 芸術文化学部, 講師 (10736276)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 言語学 / 国語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的[1] 指示詞の運用について,観念指示の歴史的変化を整理した。特に中世,近世の調査を行い,ア系列の指示がどのように行われているのかについて,運用と心的処理を考察し,若手研究者の会・研究合宿にて報告した。これについては次年度に論文化予定である。また中古和文資料における観念指示についても文献調査し,さらなる用例を収集,分析した。([1-1]) 文脈指示の歴史的変化については,「ソコ」という形式を取り上げ,文脈指示と現場指示,文脈指示と観念指示との用法の接近を時代ごと資料ごとにまとめ,報告した。また,指示詞のデータベースの構築のため,現在,特に電子テキスト化がまだ進んでいない抄物資料を中心にテキスト化および用例収集・分析を行っている。これを通して,指示詞のデータベース構築にどのような情報が必要であるかを検討している([1-2])。
本研究課題の目的[2] 文脈指示の再検討については,[1]で設定した抄物資料を対象として,文脈指示詞のソと類似したふるまいを見せる不定語についてのデータの収集および分析を協力者の松本朋子氏の協力を得た。これに関しては若手研究者の会・研究合宿にて報告があり,文脈指示と不定語との関連について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の本年度実施計画のうち[1]については当初の予定に従い,おおむね順調に進行している。しかし,[2]については方言における文脈指示の例の収集は進めているが,文献にとどまり,実際の調査にまで至っていない。現時点で,調査者に対面調査をする経費の確保が難しいことが理由である。また他言語との対照については依頼していた研究協力者の一人である巴雅尓都楞氏の都合により,研究会が実施できていない。そのため,モンゴル語および中国語との比較が文献での確認にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] 指示詞の運用の[1-1]観念指示の歴史的変化については,調査の補いを中心に行い,成果発表として研究論文を発表する。[1-2]文脈指示の歴史的変化については中世,近世の文献資料の調査を引き続き行う。[2] 文脈指示の再検討については,現代語の調査に中心をおき,大学生のエッセイなどを採集する。また,[1][2]と踏まえ,研究協力者の松本氏と協力し,不定語との関連についても考察し,発表を行う。 諸外国語との対比については本年度の課題には含めず,中世室町期の言語資料である抄物に重点を置き,調査・分析を行う。合わせて抄物の指示詞データベースの指針を整備し,大規模データベースの基礎となるデータベースへの提案を行う。
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Research Products
(1 results)