2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本人EFL学習者の英文読解におけるトピックおよびテーマ推論生成プロセスの解明
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26884044
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
小林 真悠子 常磐大学, 人間科学部, 助教 (30734157)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2017-03-31
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Keywords | リーディング / 推論 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人EFL学習者の読解における下位レベル処理としての語彙アクセスと、上位レベル処理としてのトピックおよびテーマの推論生成のプロセスを明らかにすることである。 昨年度実施した「研究Ⅰ:文単位の読解におけるトピック推論の生成」では、文単位でのテキスト構築は、文章単位での読解と比べ、離れた情報を統合する必要がなく、下位レベル処理にかかる負荷が少ない。そのため、英語熟達度の低いEFL学習者であっても文情報から適切なトピックが生成されていた。一方、読解後のトピック語を手がかりとした情報再生においては、トピックと提示文の因果的な結びつきの強さによって再生される情報量に差が生まれることが分かった。 それに続き、今年度の「研究Ⅱ:文章単位の読解におけるテーマの推論生成の検証」では、TAU(thematic abstraction unit)と呼ばれるひとつのエピソードの主題構造を表したものであり、ペア間で根底にあるテーマが共通する文章マテリアルを使用した検証を行った。その結果、テーマが共通している条件において、有意に真偽判断課題の反応時間は短くなっており、EFL学習者は文章単位の読解においてテーマ推論を生成していることが分かった。また、読解後の筆記再生課題では英語熟達度レベルによる差が大きく見られ、熟達した学習者ほど正確に多くのテキスト情報を再生することができていた。このことは、読解後の長期記憶内において一貫したテーマ情報が文章を想起する際に重要な手がかりとして使われ、かつ熟達した学習者ほど、そのスキルに優れていることを示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の遂行にあたっては、主に2つの文章単位(文単位,文章単位)における推論生成を扱う。現在までに、文単位および文章単位両方の検証を実施済みである。今後、これら2つの文章単位で得られたデータを基に読解プロセスを比較する予定である。 検証自体はおおむね順調に進んでいるが、得られた成果を公に発表するまでには至っていない。そのため今後は研究から得られたデータを総合的に分析し、論文等にまとめる作業を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施済みの「研究Ⅰ:文単位の読解におけるトピック推論生成の検証」での分析結果と、今年度実施済みの「研究Ⅱ:文章単位の読解におけるテーマの推論生成の検証」の分析結果を総合的に比較検証し、文章単位の違いによって、EFL学習者の読解プロセスにどのような違いが見られるかを明らかにする。
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