2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26884045
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
小薬 哲哉 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (40736493)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 身体部位名詞 / 受身 / 談話機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、単文での(非)容認性判断と談話文脈における容認性判断が相反する文法現象を考察し、その原因を原理的に解明することを目的とする。本年度は、身体部位名詞を含む再起表現(以下「身体行為構文」と呼ぶ)の受動化(例: *Her eye was winked (by Linda). vs. Heads were nodded in sympathy.)について研究を行い、その成果を麗澤大学英米文化研究会にて英語で発表を行った。本業績における主要な論点は以下のとおりである。 (1) 身体行為構文の受動文が可能となるのは、(a) 形容詞的受身の意味によって動作主が背景化される場合か、(b)提示文としての談話機能によって動作主が背景化される場合である。 (2) (a)の場合には、形容詞的受身の構造的特性と構文の意味的特性の相互作用により、(b)では、構文の意味的特性と談話機能の特性の相互作用により、動作主の背景化が行われる。 発表後には、英語母語話者を含む多くの研究者から数多くのご意見やご指摘を頂戴し、有意義なディスカッションを行うことができた。また、本発表を通して、日本語における対応する構文の分析と研究発表への足掛かりを作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関への着任初年度であったことに加え、年度末に所属研究機関を移動することになり、それに係る諸手続き等に時間を割かねばならなかった。結果、データ収集に関しては現段階で必要な量は揃えることができたが、春季に予定していた研究を深化させるための発展的調査を実施することができなかった。代わりに、次年度の調査対象も含めた重要参考資料を揃えることに注力し、研究環境を大きく整備することができた。データ収集と考察に関しては予定した範囲の達成ができたが、成果の発表が十分に至らなかったため、やや遅れているという判断を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、第1段階として、身体部位名詞を含む再起表現の受動化に関する研究を論文の形にまとめることを夏までに行う。その後、あるいは同時並行的に、結果構文の目的語省略について、(A)結果構文の類型と統語・意味的特徴の記述、(B)単文で容認されない理由の分析、(C)実例の分析、(D)仮説・検証、(E)目的語省略一般の考察・調査、(F)日本語の目的語省略との比較、という順に行い、その成果を国際学会またはジャーナルに投稿していく予定である。
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Research Products
(1 results)