2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26884046
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
岡田 万里子 桜美林大学, 人文学系, 准教授 (60298198)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 京都 / 文化 / 多様性 / 芸能 / 記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来断面的かつ画一的にとらえられてきた京都文化を再考し、近世京都における文化・芸術の多様性を論じることを目的とした。近世期の京都は、武家社会にありながら宮廷を擁し、独特な位置を占めていたとされ、その文化・芸術的な面においても宮廷文化の影響が指摘され、その一方で、祇園祭りに代表される初期の町衆文化や初期歌舞伎など、近世初期は民衆文化が論じられるものの、その後は幕末の「ええじゃないか」まで看過される傾向にあった。本研究は、その空白期間をつなぐものとして計画した。 具体的には、五摂家筆頭の近衛家の当主夫人日記に、近世後期の公家と民衆とが絡み合う文化の記録を見出していこうというのが本研究の趣旨であった。近衛家当主夫人の日記は、近衛家二十代当主近衛基熙夫人の常子内親王による『无上法院殿御日記』(寛文6年~元禄13年)、二十四代当主近衛経熙夫人の董子女王による『円台院殿御日記』(天明8年~天保12年)、そして二十六代当主近衛忠熙夫人の興子による『常興善院殿御日記』(天保15年~弘化3年)の三点があり、本研究では近世後期に書かれた『円台院殿御日記』ならびに『常興善院殿御日記』に記された文化・芸術関係の記録についてデータベースを作成し、その分析を行った。これらの夫人の日記は「公記」として記録される当主の日記とは異なり、夫人による私的な記録である。内容は多分に恣意的であり、贈答の手控えとも考えられるくらい贈答の記録が多くを占めていることもわかった。日記に登場する人物も手控えであるため略称で記されることもある。「慰事あり」と書かれ、なにが行われたのか具体的な記述がない記録も見られた。しかし、こうした雑駁な膨大な記録から、逆に近衛家当主夫人の周辺では芸能のような文化活動が日常的に行われていたことが推測され、具体例から類推することができた。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(10 results)