2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会諸科学が英国ニューリベラリズムの社会改革思想の発展に及ぼした影響について
Project/Area Number |
26884047
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
寺尾 範野 共立女子大学, 国際学部, 講師 (80735514)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ニューリベラリズム / 福祉国家 / ホブスン / 社会進化論 / イデオロギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、19世紀末から20世紀初頭にかけての世紀転換期イギリスにおいてみられた自由放任を是とする古典的自由主義から福祉国家的なニューリベラリズムへの思想的転換に対して、同時代の社会諸科学(経済学と社会学)が与えた影響を検討した。 平成27年度の研究成果として、以下の三点が挙げられる。 ①ニューリベラリズムの代表的思想家J.A.ホブスンの社会改革思想に対して、ジョン・ラスキンの規範経済学とソースティン・ヴェブレンの制度派経済学が及ぼした影響を体系的に解明できた。研究成果を論文に纏め、日本イギリス理想主義学会の学会誌『イギリス理想主義研究年報』(2016年)に発表した。 ②社会進化論と優生思想が多様に展開していた当時の社会学の文脈におけるニューリベラリズムの社会思想の位置づけについて考察し、中間成果を第18回大原社会政策研究会(2016年1月9日)等、複数の研究会で報告した。最終的な研究成果については、東京大学の市野川容孝教授・関西大学の宇城輝人教授が主催する「社会的なものの思想史」研究会で出版企画が進んでいる論文集に発表する予定である。 ③同時代の社会諸科学の言説をニューリベラリズムがいかに自己の政治的影響力の拡充に用いたかを、イデオロギー研究の手法を用いて分析した。研究成果を第40回社会思想史学会大会セッションH「ポスト基礎付け主義と規範の行方」(2015年11月8日)で報告した。最終的な研究成果については、同セッションを企画した「ポスト基礎付け主義」研究会で出版企画が進んでいる論文集に発表する予定である。 イギリス福祉国家思想と社会科学との関連については、従来、ケインズ、ベヴァリッジ、ウェッブ夫妻などの思想家が注目されてきたが、彼らのものとは異なる方向性の「社会科学的福祉国家思想」をニューリベラリズムはもっていた。このことを解明できたことが本研究の大きな意義であった。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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