2014 Fiscal Year Annual Research Report
パシフィック・ノースウェスト・スクールと日本の戦後美術の交流
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26884056
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
中嶋 泉 明治学院大学, 文学部, 研究員 (30737094)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 日米美術交流 / 国際情報交換 / 米国 / 日本 / パシフィック・ノースウェスト・スクール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後日本に大きく紹介された、米国西海岸の美術「パシフィック・ノースウエスト・ スクール(以後、太平洋北西派)」が、占領後の 1950 年代前半における日米文化交流の促進にお いて両国でどのような役割を持っていたか、実際の作品分析とあわせ、歴史的に明らかにするこ とを目的としている。平成26年度は、本運動の日米両国での評価、受容の様態およぶ作品の所在を知る為に、関連書籍の購入、美術館、大学アーカイヴでの文献収集、美術館での作品の実見を東京、ニューヨーク、シアトルにて行った。さらに同領域研究者、関係者の所在、連絡先等を調査し、翌年の研究調査支援や聴き取り調査のアポイントメントを取った。 収集した書籍を精読し、また日米の美術交流、文化的交換、米国占領下の文化政策に関する関連書籍と理論書を講読し、運動と作品の分析をするための理論的基盤をつくるようつとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は米国滞在にまとまった時間を取ることができたため、平成27年度に計画していた国外での資料収集を先行してシアトル美術館やワシントン大学資料センター、ニューヨーク近代美術館、ブルックリン美術館等で行うことができた。また、聴き取り調査の対象となる美術家、ギャラリ ー関係者、学芸員の遺族や関係者に、協力者の助力を得て聴き取り調査を行い、当時の日米の文 化交流状況の断片的情報を収集することができた。 また作品の特定に至るための展覧会資料、図録、書籍、展覧会アーカイヴ資料を各地で収集し、作品を実見するための準備も行うことができた。米国での基礎調査を終えたことで、本年度の研究は国内を中心とした調査、米国での聴き取り調査や作品分析に集中して行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 展示実体、批評の収集調査 日本および米国において、該当美術運動の展覧会カタログ、リーフレット、批評記事を収集し、 さらに展覧会構想の実態を知るために、開催されるまでの間に作成された書簡、企画書、メモな ど展示構想の過程を示す資料を、東京、シアトル、ニューヨークの美術館や大学のアーカイヴを 利用して、広範に調査する。また存命の作家や当時の様子を知る美術関係者にも聴き取り調査を 行う。 (2) 作品の調査 上記で収集した資料に準じ、太平洋北西派およびそれに関係した日本人作家の作品をリスト化 し、所蔵先に赴いて作品を熟覧、調査する。また、現存しない作品は美術館やギャラリーの展示 風景など写真資料をもとに同定に努める。そして、それらの作品の技法、素材、表現上の特徴を、 既存研究を参考にしながら分析し、文化横断的影響や参照の痕跡を具体的に追跡する。 (3) 美術史記述の理論研究 文献調 査を行い、固有の美術の歴史や他文化との交流の軌跡を柔軟に書き記すための理論的基盤を築き、 有機的な美術史検証の場を構築する方法を考察する。
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Research Products
(3 results)