2015 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア・アヴァンギャルド芸術における音声の複製技術の影響
Project/Area Number |
26884061
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八木 君人 早稲田大学, 文学学術院, 講師 (50453999)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ロシア・フォルマリズム / ロシア・アヴァンギャルド / ボリス・エイヘンバウム / セルゲイ・ベルンシテイン / イリヤ・ズダネヴィチ / 音響メディア / 複製技術 / フォノグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は8月に千葉市で開催されたICCEES(国際中欧・東欧研究協議会)の第9回国際大会において、報告「ロシア・フォルマリズム理論における音響複製技術の影響:ボリス・エイヘンバウムのケース」を行った。これは、既出の日本語論文のコンセプトに、本課題で取り組んできた当時の音響複製技術の使用状況や、実際にフォノグラフを使用して詩の分析を行っていたセルゲイ・ベルンシテインの研究とエイヘンバウムのそれとの関連への言及を加えた上で、ロシア語で報告したものである。この報告において申請者は、エイヘンバウムのいわゆる「形式的方法」の展開に対する音声の複製技術の影響を指摘したが、彼の著作や関連文献の中には、音声の複製技術に対する直接的な言及がみられないため、このテーゼは、どうしても状況証拠による「仮説」にとどまらざるを得なかったというのが聴衆の反応を踏まえた上での率直な反省点である。しかし、この方向で研究を展開する余地はある。それは、①2014年3月にロシア出張で得たエイヘンバウムのアーカイヴ資料をさらに精読すること、②ベルンシテインのアーカイヴ資料を調査することである。後者に関しては、2015年8月に招聘したヴァレリー・ゾロトゥヒン氏からの情報提供でその存在を知ることができたが、未だ公開には至っていないため、今後の課題となる。 一方、そうした反省を踏まえ、当時の詩に対する音響技術の影響を考える上で、フォノグラフに直接的に言及している詩人・作家であるイリヤ・ズダネヴィチの初期の活動について調査を進めた。ズダネヴィチはフォノグラフを、詩を記録する新たなメディウムと考えていたが、そのとき彼がフォノグラフに担わせた意義とは、声の同時性と複数性の実現であることを申請者は明らかにした(詳細は拙論「イリヤ・ズダネヴィチ「フシォチェストヴォ」に寄せて:美術史から詩へ、詩からフォノグラフへ」を参照)。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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