2015 Fiscal Year Annual Research Report
インド・ラダックにおける仏教ナショナリズムの展開に関する研究
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26884068
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
宮坂 清 名古屋学院大学, 法学部, 講師 (50734000)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ラダック / 仏教ナショナリズム / 近代仏教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、先行研究や二次資料の読み込みを継続するとともに、平成27年8月にデリー市およびラダックのレー市において現地調査を行った。デリー市のデリー大学図書館では雑誌記事などの関連資料を閲覧・複写し、レー市のラダックでは、ラダック仏教徒協会副会長タシ・ムルプ氏やラダック地域史家タシ・ラブギャス氏を訪れてインタビューを行った他、仏教徒協会の公的資料を収集するなどした。現地調査後は、収集したインタビュー資料、複写した紙媒体の資料などを整理・検討し、まとめの作業を行った。 一連の作業により、以下の2点を資料に基づいて裏付けることができた。まず、ラダックの仏教エリートが、インドが「ヒンドゥー教徒によるネーション・ステート」として独立したことを、自らのナショナリズムに正統性を付与するものと解釈したこと。次に、仏教徒たちが、1947年のインド独立を経てもジャンムー&カシミールによるラダック支配が基本的に維持継承されたことに大きく失望し、それが「仏教徒ラダック人」というネーションの構築とそれに基づくナショナリズム運動の昂揚の契機となったことである。これらにより、1949年以降「仏教徒ラダック人」たちが高僧バクラ・リンポチェを州議会やインド下院議会に送り、ラダックの仏教徒というアイデンティティに依拠して待遇改善や権利獲得を求めていく、その出発点がどのようなものであったかについての一端が明らかになる。 今後、以上の成果を学会や学会誌などで発表する予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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