2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代アジアにおける女性キリスト者の貢献可能性と環境倫理―タイを事例として―
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26884070
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤原 佐和子 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (20735295)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 思想史 / キリスト教 / エキュメニズム / アジア / エコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
世界教会協議会(WCC: World Council of Churches)によるエコ神学への取り組みについての基礎的研究を行った。アジア・キリスト教協議会(CCA: Christian Conference of Asia)による取り組みについては、「最初の10年」における議論の内容とWCCからの影響関係についての文献研究に取り組むとともに、当時、CCA「開発と奉仕」部門の担当幹事であった2名のキリスト者(日本、タイ)に対するインタビュー調査を実施した。 これらの調査により、WCC、CCAによる取り組みの主たる目的は、加盟教会の間での環境意識の高揚や、諸宗教の協働の機会を提供することにあり、教会や神学校などのローカルレベルの応答について把握することは彼ら彼女らの責任と見なされてこなかった点について考察した。言い換えれば、このようなエキュメニカルなネットワークを効果的に用いながら、行動志向に基づいた貢献を行うことが期待されているのは、神学教育にかかわる者たち自身であるという点についても検討した。 また、エヴァンストンで開かれたPANAAWTM(Pacific, Asian, North Asian American Women in Theology and Ministry)の30周年記念会議に参加し、かつてWCC、CCAにかかわり、エコ神学教育についての言及も見られるフィリピン出身の女性神学者とのインタビューを行った。アメリカ在住のアジア人、アジア系アメリカ人の女性キリスト者による神学運動の歴史に対する見識を得るとともに、彼女らが、アジア在住のアジア人女性キリスト者たちとの間に十分なネットワークを持っていないことが明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「神学的訓練を受けている女性たちのグループ」のメンバーに対する調査や、環境に対するキリスト教の組織的な取り組みについての調査が予定よりも円滑に遂行できている一方、エコフェミニスト神学に関する基礎的研究(文献研究)に若干の遅れが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
6月は、世界教会協議会(WCC)による環境への取り組みの責任者からの勧めにより、ギリシャで開催される「エコ神学と環境倫理に関する国際会議」に参加し、研究発表を行う。8月は、チェンマイ(約30日間)にて「神学的訓練を受けている女性たちのグループ」のメンバー2名についての調査を実施する。その際には、同志社大学研究倫理基準及び人を対象とする研究倫理基準を遵守し、プライバシーと人権に対する最大限の倫理的配慮に努める。 その成果は、9月に桜美林大学で開催される日本基督教学会全国大会における口頭発表で行うものとする。学会誌『日本の神学』への投稿を行う。また、日本エキュメニカル神学研究会の発起人の一人として立教大学での創立大会の開催にかかわる。創立大会では、この研究課題と密接な関係にあるキリスト教のエキュメニカル運動について、専門家との情報交換を行うことができる。 11月には、現在アメリカで活動するタイ人女性神学者の招きにより、アトランタで開催されるアメリカ宗教学会(AAR)に参加する。 12月は、アジア・キリスト教協議会(CCA)による2000年代の取り組みを整理し、アジアと宗教的多元性研究会(京都大学)において研究発表を行う。 2月はチェンマイ、バンコク(約90日間)においてタイ語資料を精読し、「神学的訓練を受けている女性たちのグループ」のメンバー3名について参与観察とインタビューによる調査を実施する。その成果は、3月の日本基督教学会近畿支部会において発表する。論文を執筆し、「アジアの女性たちの神学」の専門誌あるいは『基督教研究』において成果発表を行う。
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