2015 Fiscal Year Annual Research Report
指示表現による相互理解の達成の解明:技能教授場面の分析から
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26884077
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
小川 典子 富山高等専門学校, 一般教養科, 助教 (20734388)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 空間参照枠 / 教授場面 / 指示 / 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、場所に言及する際に用いられる指示表現がやりとりの中でどのように選択され、そして理解されるのかを、茶道稽古場面と自動車教習所の教習場面の録画・録音データを用いて解明することである。話し手がどのような形式の指示表現を選択したかということには、話し手が聞き手の知識状態・知覚状態をどのように予測したのかが反映される。そのような指示表現を分析することにより、発話や振る舞いといった、利き手が発する様々な言語的要素・非言語的要素に対して、話し手がいかに機敏に反応し、指示対象の理解も含めた相互理解がいかに達成されるのかを明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は前年度に引き続き、収集した茶道稽古場面および自動車教習場面のデータの書き起こしを行い、特に場所表現に注目して表現の収集および分析を行った。研究代表者の不測の病気により本年度6月から2月頃まで研究の中断を余儀なくされたため、データ収集、書き起こし、分析、研究成果の取りまとめ、研究成果の発表等、本年度に計画していた内容の多くを遂行することが困難となったものの、茶道稽古場面と自動車教習場面の2種類のデータを「空間参照枠」の観点から比較したとき、前者は相対参照枠、後者は絶対参照枠が多く用いられる傾向が見られたということが明らかとなっている。この傾向の違いは、2種類のデータにおける参与者の位置関係の違いというよりも、位置づけられる対象や場所のバラエティーの豊富さがが関わっていると考えられる。 参照枠の選択には様々な要因が働くことが指摘されているが、位置の描写か移動の描写かといった空間指示の種類が関与する要因についてはまだあまり分析が進んでいないようである(cf. 松本ほか2010)。本研究で得られたデータはこの要因を明らかにするのに有効であると思われるため、今後、空間参照枠の観点からの分析をさらに展開する予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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