2015 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット時代の著作権と表現の自由の調整をめぐる立法と司法の役割
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26885002
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
比良 友佳理 京都教育大学, 教育学部, 講師 (40733077)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 著作権 / 著作権法 / 表現の自由 / 憲法 / 知的財産法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、著作権侵害訴訟での司法の役割について検討した。具体的には、著作権侵害訴訟において、裁判所が法解釈を通じてこれまで表現の自由にどの程度配慮を示してきたかを検証した。 我が国では著作権法の合憲性について正面から扱った裁判例は存在しないが、既存の条文を柔軟に解釈するなどの形で、著作権に対し間接的に表現の自由の価値を尊重したと思われるものは存在する。例えば、他人の書の掛け軸がカタ ログ写真に小さく写り込んだ事案において、東京地判平成11.10.27判時1701号157頁[雪月花一 審]、東京高判平成 14.2.18 平成 11 年(ネ)5641 号[雪月花二審]は書の創作的表現が写真の中に再 現されていないとして著作権侵害を否定した。写り込みに関する明文規定を欠いていた当時、類 似性要件を柔軟に解釈することで、著作権行使が利用者側の表現の自由を害することがないよう 配慮した判決と評価できる。 こうした個別の著作権侵害訴訟における裁判所の取り組みは、著作権と表現の自由の調整において一つの重要な役割を果たしているということができる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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