2014 Fiscal Year Annual Research Report
裁判員による発話内容に着目した目撃証言の信用性判断に関する研究
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26885003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
名畑 康之 北海道大学, 文学研究科, 学術研究員 (90733006)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 目撃証言 / 信用性判断 / 情報処理スタイル / プロトコル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が行ってきた一連の研究では、裁判員の情報処理スタイル(分析処理者、直観処理者)によって、社会的弱者の目撃証言の信用性判断に違いが生じることが示されてきた。しかし、社会的弱者の証言の信用性を判断する過程で、分析処理者と直観処理者の間にどのような違いがあるのかは不明である。本研究の目的は、裁判員が社会的弱者の証言の信用性を判断する際に、頭に浮かんでくる事柄をそのまま口に出してもらい、その発話内容を分析することで、彼らの情報処理スタイルによって、社会的弱者の証言の信用性判断に違いが生じるメカニズムを明らかにすることである。 本年度は、次年度に実施する調査の準備を進めた。具体的には、調査で使用する材料の作成・準備として、参加者に提示する公訴事実、裁判の争点、目撃証言を法学者の協力を得て作成した。加えて、上記の材料を参加者自身のペースで読み進めることができ、頭の中に思い浮かべていることを口に出しながら目撃証言の信用性を判断することができる(パソコン上で選択できる)コンピュータプログラムも作成した。また、参加者の発話内容の記録に適した調査環境を確保し、発話内容を記録する機器も揃えた。参加者の募集方法については、参加者の等質性が担保されるよう配慮した上で、ウェブサイト等を利用して募集することにした。さらに、研究代表者の知人に対して予備調査を実施し、次年度の調査に向けて調査環境の整備、調査で使用する材料の不備・わかりにくい点の修正も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次年度の4月から調査を実施するための準備期間として、調査で使用する材料の作成・準備、調査に必要な機器の準備・購入、調査を実施する場所の確保、参加者の募集方法の決定、調査リハーサルの実施を目指し、研究を進めてきた。現在までに上記の準備は全て完了しており、研究代表者は参加者を募集し、調査を開始することができる。これらのことから、本年度は計画通りに研究が進んできたと言える。そのため、本研究の現在までの達成度については、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、調査を4月から実施し、得られた発話内容の分析を行う。そして、得られた成果をまとめ、論文の執筆及び投稿を行う。また、学会・研究会における報告、研究代表者のウェブサイトでの記事掲載を通じて知見を発信する。この研究計画を円滑に進めるため、まず、研究代表者はウェブサイト等を利用して参加者募集を行い、参加者(40名)を早急に確保し、調査を実施する。加えて、全ての調査参加者に対して調査が終了した後、書き起こした発話内容の分析がすぐに行えるよう、調査で得られた発話内容の書き起こしを随時行う。
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