2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26885004
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
島田 佳憲 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70733351)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 財務会計 / 予想情報 / 設備投資 / 研究開発投資 / 自発的情報開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,企業の事業活動にかかる設備投資および研究開発投資の将来予想情報(以下,投資予想情報)について,(1)投資予想情報開示の決定要因,(2)投資予想情報が企業価値に及ぼす影響,そして(3)投資予想情報の精度が資本市場の評価に及ぼす影響を究明することを目的としている。不確実な将来キャッシュ・フローや経営状態を予想することが求められる経営者や投資者に対して,企業の営業活動の根幹となる投資情報が有する情報内容について一定の経済的証拠を示すことを通じて,予想情報開示制度の整備や適切な企業価値評価による健全な資本市場の発展を促進する。 平成26年度においては,主として(1)および(2)の研究に取り組んだ。(1)については,投資予想情報は強制開示ではなく任意開示であるため,まずどのような企業特性を有する企業が投資予想情報を開示する傾向にあるかを予備検証した。検証の結果,投資予想情報の開示に対して,企業規模,収益性,市場の流動性,そして今後の直接金融がポジティブな影響を,経営者持ち株比率はネガティブな影響を及ぼすことが明らかとなった。また,市場への参入障壁の程度は設備投資予想の開示にはポジティブに影響する一方で,研究開発投資予想情報の開示にはネガティブに影響することが確認された。 つぎに(2)については,Feltham and Ohlson(1995)によるモデルに基づき,投資予想情報の価値関連性に関する分析を実施した。分析の結果,将来に設備投資や研究開発投資を増加させるという予想情報は株価にポジティブな影響を及ぼし,投資予想情報には価値関連性があると確認された。さらに,過去の予想精度が高く,また過去の予想水準の変動が小さいほど,投資予想情報の価値関連性が高くなることが明らかとなった。これら結果は,投資予想情報開示の自己選択をコントロールしても変わらないことも発見されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,(1)企業の投資予想情報開示の決定要因の究明,(2)投資予想情報が企業価値に及ぼす影響の究明,および(3)投資予想情報の精度が資本市場の評価に及ぼす影響の究明であるが,平成26年度のうちに(1)および(2)に関する検証が終了している。また,(3)についても,パイロット・テストによる予備検証が完了している。それゆえ,おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては,(1)および(2)の研究については,学会や研究会における報告で受けたコメントをもとに論文を修正し,その後,論文を執筆して学会誌への投稿を行う。 一方,(3)については,予備検証での結果を踏まえて,分析モデルを検討しながら,本検証を実施する。その後,結果を取りまとめて国内外の学会や研究会において報告を行い,研究の深化を試みる。(3)についても,報告で受けたコメントを論文に反映させたのち,論文を執筆し,学会誌への投稿を行う。
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Research Products
(1 results)