2014 Fiscal Year Annual Research Report
書くことの言語活動における児童の思考プロセスに関する質的研究
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26885027
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
細川 太輔 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (70738228)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 書くこと / 質的研究 / 国際情報交換 / 21世紀型学力 / 学習環境デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画通り2つのことを実施した。 1つ目は海外視察である。海外視察で行ったことは以下の5つである。①アメリカのワシントンでNWPに参加②21世紀型学力の研究所であるP21でインタビュー ③P21のexemplaryschoolを視察④Santaclara county office of educationでディスカッション⑤現地の学校のvalley vista schoolやorchard schoolの視察。これらの海外視察からアメリカにおける21世紀型学力の理論と、それがどのように実践に移されているのかを知ることができ、日本における相手意識・目的意識のある書く活動に対して有意義な知見を得ることができた。また授業記録やインタビュー記録をすべて日本語に訳し、今後の資料とした。また複数の研究会やシンポジウムで現職の教員にアメリカの授業の動画や授業記録を紹介した。 2つ目は実際に模擬で授業観察を行ったことである。東京学芸大学附属小金井小学校の6年生の、「5年生に百人一首紹介新聞を作る」という授業実践を単元の全時間を観察した。そこで抽出児に以下の2つのことを行った。①つぶやきながら文章を書かせる。②授業直後にインタビューをする。この2つを通して子どもの思考を分析する模擬実験を行った。しかし教室の中でつぶやきながら書くことに慣れていないせいか、子どもがつぶやくことが少なく、インタビューを通して子どもの思考を可視化するに過ぎなかった。この反省を活かし、子どもに何度かこのような実験を繰り返して慣れさせてから調査するという方法を取る必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は以下の2つの点で順調に進展している。 1つはPartnership21でのインタビューや、アメリカの小学校の見学を通して、新しい知見を得ることができたことである。具体的な実践は授業記録として記録したが、21世紀型学力を実践に移すことの難しさを裏付けるものとなっている。21世紀型学力の学力観をどう実践に移し、その実践の中でどう子どもの学習を評価していくのか、それを新しく課題としてもつことができた。 もう1つは研究方法についてである。実際に小学生を対象に子どもの思考を観察しようとしたが、なかなか子どもがつぶやかず、しばらく慣れさせてから観察する必要性があることが明らかになった。このように研究方法について具体的な改善策が明らかになったので、今年度研究を遂行できる準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方針は以下のとおりである。 1つ目は海外視察や学会参加で21世紀型学力の理論や実践を分析し、新しい授業のあり方について検討していく。今年度はP21とコンタクトがとれるようになったので、先進的な学校を紹介してもらい、視察を考えている。またアメリカ以外の国への視察も考えている。 2つ目は実践の観察である。新しい授業のあり方を実践し、それを改善した研究方法で分析する。そのことによって新しい学力観の授業の中で子どもがどのような学びをしているのかを明らかになる。この研究で明らかになったことを、次年度に学会発表や論文にて公表していく。
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