2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26885031
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡田 吉美 一橋大学, 商学研究科, 教授 (20732647)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 特許 / イノベーション / 特許請求の範囲 / 引用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特許権の権利内容を公示する書面である「特許請求の範囲」の記載を、イノベーションの質や技術のタイプを示す代理変数として活用し、知識活用とイノベーションの関係等を明らかにすることを目的とする。 平成26年度は、特許請求の範囲の請求項1の発明のカテゴリー(物、生産方法、その他の方法。)をコンピュータで識別するための学習データを構築して、特許出願の公開時及び特許付与時における公報データから発明のカテゴリーを自動識別して抽出するとともに、文字数を抽出して、特許請求の範囲のデータを構築した。サンプルチェックを行ったところ、発明のカテゴリーは全て正確に識別できていることを確認した。また、文字数についても、特許の電子データに特有のデータの識別のための文字の処理の改善等を行い、1件について1文字誤差があっただけで、ほぼ正確に抽出できていることを確認した。 上記作業の試行錯誤の段階で、化学式の記載を包含する特許請求の範囲の記載は、含まないものと比較して、特許請求の範囲の記載の長さと特許請求の範囲の概念の広さの関係が逆になり得ることがあることが分かった。 審査の前後における特許請求の範囲の変化の度合いと特許出願書類における先行技術文献の引用の有無との関係を分析し、相関があることを発見した。また、審査の前後における特許請求の範囲の変化の度合いと先行技術文献の新しさとの関係では、自己引用か非自己引用かの区別等、より詳細なデータの構築が必要であることを理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後6ヶ月であるが、研究遂行上の大前提である、発明のカテゴリー(物、生産方法、その他の方法。)をコンピュータで識別することに成功し、文字数もほぼ正確に抽出できていることを確認した。他方、出願人が特許出願書類で引用した引用文献データについては、一部に、優先権主張のための引用という、引用文献として扱うべきでないデータが一部混入していることが判明し、新たな課題も発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
特許の権利者名の名寄せデータとの融合を行い、自己引用と非自己引用を区別する引用データを構築する。また、特許出願書類における外国特許文献の引用についても、学習データを構築して、自動抽出し、他のデータベースとの融合を試みる。これらを踏まえて、発明者数、外国出願の有無、後方引用件数などの、他の特許の質を表す指標と特許請求の範囲の文字数との相関関係を分析・検証しつつ、最新の特許情報を踏まえて研究開発活動を行う企業の取得する特許の質的優位性を分析・検証する。また、出願人が特許出願書類で引用する形態は、先行技術文献として引用、実施可能要件を充足するための引用、優先権の主張等のための引用の3つに大まかに区別されるところ、学習データを作成して、これらを自動識別することを試みる。
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