2014 Fiscal Year Annual Research Report
核エネルギーの「平和利用」協力と日米同盟 1958-1968
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26885042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 慎吾 大阪大学, 国際公共政策研究科, 助教 (80733534)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 史料調査・収集 / 国際情報交換 / 日米関係 / 日本:アメリカ:イギリス / 核エネルギー / 核兵器 / 原子力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在の日本の安全保障の根幹を成している日米同盟、そしてその中心的要素といえる米国の核兵器による拡大抑止、いわゆる「核の傘」の形成と発展が、同じく日米間の核エネルギーの「平和利用」協力といかなる関係にあったのかについての解明を目指すものである。 そこで本研究は、1958年の「日米原子力一般協定」、1963年の「日米IAEA保障措置移管協定」、1968年の「新日米原子力一般協定」という、1950年代半ばから60年代にかけて日米間で締結された3つの核エネルギーの「平和利用」協力関連の協定に着目し、主として米国政府内部の政策決定過程から分析を行っていくことにした。 そこで昨年2014年度においては、1958年の協定の考察から開始した。実は1958年の「日米原子力一般協定」と同日に、日本は英国とも同様の協定を締結していた。ゆえに昨年度は、こうした2つの日米ならびに日英の原子力一般協定関連の史料の調査と収集を研究の中心に置いた。まず日本側の史料状況については東京の麻布台にある外務省外交史料館において調査・収集を行い、多くの史料を収集することができた。米国側の史料については、カンザス州アビリーンにあるアイゼンハワー大統領図書館と、メリーランド州カレッジパークにある米国国立公文書館において調査・収集を行った。そして、「日英原子力協定」に関する史料についても、ロンドン郊外のキューガーデンにある英国国立公文書館において調査・収集を行った。以上の3国に渡る史料調査・収集によって、1958年協定の解明に不可欠な史料を収集することができた。 さらに昨年度は、こうした1958年の協定の史料収集・調査と並行して、1963年締結の「日米IAEA保障措置移管協定」に関する史料についてもマサチューセッツ州ボストンにあるケネディ大統領図書館において調査・収集を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れているとしたのは、以下の理由による。まず、当初の申請額よりも50%近く予算が削減されたために、十分な渡航期間を確保できなかったことである。また、アメリカでの史料調査・収集中、大雪に見舞われ大統領図書館および公文書館が断続的に閉鎖された。それにより史料の調査・収集に大きな遅延が引き起こされた。さらに、日米英における史料調査・収集の結果、とくに米国側において予想以上に非公開史料が多いことが判明したことも、研究全体の進捗を妨げる要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究の方策としては、昨年度に収集した史料を大至急精査していくことが最優先事項となる。さらに可能な限り早期に再度渡米し、テキサス州オースティンにあるジョンソン大統領図書館とメリーランド州の国立公文書館において1968年の日米原子力協定改定交渉の史料を中心に、残りの史料を収集する予定である。それら史料を急ぎ分析し、米国の歴代政権が日本との核の平和利用協力をいかに外交政策上位置付けていたのかを明らかにしていく予定である。
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