2014 Fiscal Year Annual Research Report
流動的多角的法律関係の準拠法に関する序論的研究:信託及び隣接法律関係を素材として
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26885050
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
八並 廉 香川大学, 法学部, 准教授 (20735518)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 国際私法 / 多角的法律関係 / 信託 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際私法の分野において、多角的法律関係の準拠法問題を扱う先行研究のほとんどは伝統的な多角的法律関係の成立の準拠法に焦点を絞っており、不特定多数の投資家に受益証券を販売する信託のように、当事者の構成が短期間のうちに刻々と変化していく法律関係の準拠法問題は、これまで扱われてこなかった。他方、このような流動的多角的法律関係は近年増加しており、それをめぐる国際民事紛争解決のための法整備は喫緊の課題である。そこで、本研究は、流動的多角的法律関係に関する準拠法問題の解決方法を明らかにするための序論的研究に取り組むものである。 平成26の研究活動においては、流動的多角的法律関係に固有の問題のうち、従来の国際私法理論によって解決できない問題を特定・整理するために、日本・欧州・米国の国際私法を対象として関連する制定法・判例法・学説の調査を実施した。 その上で、将来的に流動的多角的法律関係の準拠法問題に対して体系的な解決方法を構築するための出発点として、特に、そのような法律関係の国際私法上の性質決定について検討を進めた。そのための序論的考察となる性質決定理論に関する研究成果の一部については、日本学術振興会・平成26年度育志賞研究発表会(平成26年8月20日(水)、東京工業大学東工大蔵前会館くらまえホール)において、報告しており(表題『逆像概念を用いた法性決定理論再構築のための序論的考察』)、その報告内容の要約レジュメは、日本学術振興会ウェブサイト内の同研究会のページにおいて公表されている。 また、平成27年度に実施予定の本研究課題の下での研究会の準備として、平成26年度のうちから関連分野の専門家に打診を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する制定法・判例法・学説の調査活動を遂行しながら、その成果について研究会報告等の機会を通じて外部からのコメントを得る段階に進捗しており、おおむね申請時に予定していたペースで研究を進展させているため。また、「研究実績の概要」に述べた通り、平成27年度における研究活動の準備も進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」で述べた通り、平成26年度においてはおおむね申請時の研究計画に沿う形で研究を進展させたことから、平成27年度においても、当初の計画に基づき研究会開催等の活動に取り組み、研究を進める予定である。
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