2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26885059
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
阿部 純一 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (90735341)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 婚外子 / 非嫡出子 / 親の配慮 / 共同親権 / 共同配慮 / 親権 / 配慮権 / 民法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2ヵ年計画の1年目に当たる平成26年度は、当初の研究計画にしたがって、基礎文献の調査及び蒐集された各種資料の分析・検討を行った。歴史的研究を中心に据える本研究では、過去に公表された資料の広範な調査研究が要となるが、国内図書館における訪問調査と国外資料の購入を通じて、基本的資料を蒐集した。さらに、ドイツ家族法の専門雑誌について、データバンクDVDの購入を通じて、過去の論文・裁判例を参照できる研究環境を整備した。 上記方法によって蒐集された資料について、平成26年度はとりわけ1969年非嫡出子法の成立から1997年親子法改正までの約30年間のドイツ連邦共和国議会における議論及び1990年東西ドイツ再統一に伴う議論を中心に分析した。各種議会資料からは、1990年代以降の各政党からの立法提案の動向とドイツ連邦政府による改正法案の策定過程が析出された。東西ドイツの再統一によって、その拠って立つ基本理念が著しく異なる東西両ドイツの法制度もまた統一を迫られた。この世界法史上も稀有な出来事に直面して、ドイツ家族法がどのような影響を受けたのかを明らかにすることができたが、同時に統一前夜の東ドイツにおける議論の進展という新たな課題も明らかになった。東西ドイツ再統一に伴う影響については、平成27年度もこれに関連した資料を引き続き調査・検討する予定である。 平成26年度中には、本研究課題に関連した成果を論文等の形で公表することはなかったが、平成27年度に予定されている論文執筆等に向けての基礎研究を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画にしたがって順調に研究を進め、所期の計画はおおむね達成することができた。とりわけ、過去の各種コンメンタールを含めて、ドイツにおける婚外子共同親権の形成過程を明らかにする上で必要な基本的文献を入手することができた点、ドイツの議会における議論を詳細に分析することができた点では、計画以上の収穫があった。その一方で、研究実績の概要で触れたように平成26年度中の研究を通じて新たな課題も明らかになった。東西ドイツ再統一に伴う影響は、平成27年度の研究において引き続き検討する予定であり、その中で新たな課題についても検討する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
2ヵ年計画の最終年に当たる平成27年度は、ドイツにおける裁判例と学説の分析が研究の中心になる。また、これまでに入手し得た資料に加えて、国内で入手が困難な資料を調査する目的で、夏にはドイツでの実地調査も計画している。さらに、平成27年度には、本研究課題について得られた研究成果を学術論文にまとめ、公表する予定である。
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