2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本地方教育行政の再編―教育行政の独立と教育の専門性の関係構造
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26885064
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
杉浦 由香里 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (90734111)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 地方教育行政 / 督業教師 / 学事奨励職員 / 小学督業 / 教育行政の独立 / 教育の専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、資料調査・収集および先行研究の解読、資料整理と論理分析を中心に行った。 資料収集については、群馬県と長崎県の調査に着手した。群馬県に関しては、明治12年から明治22年までの県会議事録と明治11年から明治16年までの群馬県布達を収集した。また、小学督業や学事奨励職員に関する区有文書や私家文書を収集することができた。他方、長崎県については、長崎歴史博物館にて明治10年代の長崎県学務課の関連資料を収集することができた。 先行研究の解読については、地方教育行政史や教育令成立史、1880年代史研究などの関連論文や書籍を収集して解読を進めた。解読の結果、先行研究では、地方が独自に設置した地方教育行政機関(督業教師・小学督業・学事委員等)に関して地域史料に根ざした分析がほとんどなされていないことが判明した。多くの研究は、府県の布達類の分析にとどまっており、県会議事録まで用いた研究は少ない。府県が独自に地方教育行政機関を設置するに至る施策形成過程までを含んで明らかにするうえで、県会議事録の分析が欠かせないことが明らかとなった。 資料の分析から、群馬県では明治12年から独自に督業教師を設置することが県会で提案されていたことが判明した。しかし、明治14年には督業教師を改め督学を設置することを求める建議が提出されたが、この建議が却下されたため、県会では新たに学事奨励職員を設置するよう方向転換したことが明らかとなった。これらの成果をふまえて、27年度に学会報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査については順調に進んでいる。とくに群馬県に関しては主要な関連資料を揃えることができつつある。他方、長崎県については、本研究に関わる重要な史料が長崎歴史博物館に多数保存されていることが判明した。 先行研究に関しては、従来の研究における課題を明らかにし、研究の方向性と成果報告をまとめる際の指針として活かすことができている。 群馬県の分析と整理に着手し、成果の報告に向けて準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した資料をもとに、群馬県における明治12年から明治18年までの地方教育行政の展開を検討していきたい。県会議事録や群馬県布達等をふまえて、群馬県が独自に設置した地方教育行政機関に関する資料を整理する予定である。とくに、督業教師から学事奨励職員への展開と小学督業の設置をめぐる推移について分析を進めたい。また、これらの成果をまとめて、学会等で報告する予定である。 また、長崎県における資料調査と収集に本格的に着手したい。26年度の調査によって長崎歴史博物館に関連資料が保存されていることが明らかになった。これらの資料を収集し整理していきたい。 さらに、本研究の成果をふまえて、博論の刊行のための準備に着手したい。
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Research Products
(3 results)