2014 Fiscal Year Annual Research Report
フランス青年支援局における付添い支援と若年貧困の地域格差に関する研究
Project/Area Number |
26885067
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松原 仁美 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員 (70736347)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 若者 / 貧困 / 失業 / 地域 / 付添い支援 / 職業的・社会的参入 / 雇用 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1980年代から現在にいたるまで、フランスで若者の復職に向けた総合相談窓口の役割を果たしてきた青年支援局(Mission Locale)で調査を実施し、若年貧困者が特定の地域に集中する背景を探ることにある。調査では、その特有の支援プロセスを把握するため、都市政策、住宅政策、福祉政策、社会的パートナーとの連携を視野に入れる。また、青年支援局の制度設計において、各支援現場の状況が青年支援局全体の理念や長期の活動方針におよぼす影響についても検討する。そのために、本研究は、聞き取り調査、制度設計、成果報告の3つのカテゴリーに分けて実施する。 本年度は、まず、聞き取り調査について、地方都市との比較を視野に調査をおこなった。とりわけ、調査先の青年支援局は貧困地区を管轄していたことから、若者の貧困状況を把握するとともに、都市政策や福祉施策との結びつきを重視していることが確認された。つぎに、制度設計については、調査の結果、地方レベルの評議会の役割を検討する必要性が明らかになった。現場の状況は地方レベルの評議会を通じて把握されている可能性があり、制度設計における地方の役割について考慮していく。最後に、成果報告については、研究会をつうじてヨーロッパ各国を専門とする研究者から知見を得るとともに、研究成果の一部を比較福祉レジームの共同研究としてまとめている。本年度の調査で都市政策との結びつきが確認されたことから、今後、都市と地方の支援格差について諸施策との関連を念頭におきつつ研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地方都市との比較の視点から海外調査を実施し、今後の研究につながる新たな課題を発見した。収集予定にしていた文献は一部入手できなかったものの主な資料は入手でき、研究計画はおおむね計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果から、今後の研究計画は、都市政策等との関連性をふまえてパリ市内の青年支援局で調査をおこなうことになる。その際、地域によって支援内容や事情が異なることを視野に入れる。そして、制度設計にかんしては、パリと地方都市との違いを分析することで、支援全体の理念や活動方針におよぼす影響を把握したい。これらの調査結果をもとに、学術論文およびそれに準ずる成果としてとりまとめていく。
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