2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境社会報告書の記述的表現に関する理論的・実証的研究
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26885068
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
中尾 悠利子 鳥取環境大学, 経営学部, 講師 (50738177)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 環境社会報告 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に2つの研究成果が得られた。第1に、記述的表現の2つの分析アプローチであるコンテンツ分析と解釈的テキスト分析に対して、環境社会報告の記述的表現(narrative reporting)の研究がどのような分析アプローチを採用し、どのような結論が得られているかの考察を行い、今後の環境社会報告の記述的表現研究の発展への展望を提示した。この研究成果については学会報告や学術雑誌に掲載した。第2に、日本企業が発行する環境社会報告書のトップメッセージを対象に、企業を取り巻くステイクホルダーやESG(環境・社会・ガバナンス)パフォーマンスが環境社会報告の記述的表現に対してどのように影響を及ぼすのかについて実証分析を行い、新しい発見事項として、トップメッセージにおいてESGパフォーマンスの悪い時に、事実を隠すように言葉のトーンや単語の選択によって読者への印象管理が行われていることが示唆された。この研究成果については、わが国の環境社会報告の記述的表現の研究領域における新しい貢献であることから、現在、海外の査読つき雑誌に投稿する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では、環境社会報告の記述的表現の理論的考察及び実証的考察が得られた。前者の理論的考察については、平成26年度の社会関連会計研究学会で報告を行い、『鳥取環境大学紀要』第13号に論文として掲載を行った。後者の実証的な考察については、日本企業を対象とした統計的分析結果が得られたため、査読つき海外学術雑誌に掲載を予定しており、現在、そのための準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究結果では、記述的表現の測定指標を言語分析ソフト(DICTION)によって規定された測定変数のみを使用したことにより検証結果が一部明らかにされなかったが、平成27年度ではSPSSのテキストマイニングソフトにより記述的表現自体の測定を試みることを検討している。その解析をもとに多様な記述的表現の測定指標を用いることを予定しており、新たな検証結果が明示されることが期待される。
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