2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26885079
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神前 裕 慶應義塾大学, 先導研究センター(三田), 研究員 (80738469)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 目的的行動 / ラット / 前帯状皮質 / 習慣 / 時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、ラットの前帯状皮質が目的的行動にどのような役割を果たすかを検討することを目的とした。昨年度は実験1および2を遂行し、中程度および長期に渡って訓練されたレバー押し行動の連合過程に対する前帯状皮質損傷の効果を検討した。実験1では一群のラットにはイボテン酸による前帯状皮質損傷を、もう一群には偽損傷を施した。各群に対しまずマガジントレーニングおよびレバー押しの反応形成を行った後、ランダム比率(RR)スケジュールで合計6セッションのレバー押し訓練を行った。最終セッションの翌日、各群半数は強化子事前摂食による低価値化を受け、残りの半数は飼育用固形飼料の摂取による非低価値化操作を受けた。この直後、各個体は5分間のレバー押し消去テストを受けた。この結果低下値化条件では、非低下値化条件に比べ有意に低いレバー押し反応率が得られ、この効果に群間で差がなかった。すなわち、両群ともにレバー押しの結果である食餌ペレットの現時点での価値の予測に基づいた反応の修飾を行うことができた。すなわち、前帯状皮質の損傷は目的的行動を阻害しなかった。実験2では、さらに変動時隔(VI)30秒スケジュールで2セッション、VI60秒で16セッションの長期訓練を行った後、実験1と同様の手続きで強化子の低価値化を行いレバー押しをテストした。結果、長期訓練にも関わらず両群ともに同程度に低価値化の影響が見られ、目的的な行動が見られた。この原因としては、実験箱の文脈刺激と強化子とのパヴロフ型条件付けに対する低価値化の影響が強かったことが考えられるため、複数の強化子を用いて同様の実験を再度遂行する必要があると考えられる。この他に、実験4において重要となる時間情報の符号化問題に関して、条件付け課題において動物が時間をどのように処理しているかについて論考し、その結果を二本の総説論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はまず前帯状皮質損傷の程度を確認するパイロット実験を行った後に「研究実績の概要」に記したように実験1および2を行った。実験は概ね予定通り順調に遂行できた。ただし、これに使用したオペラント実験装置では単一の強化子しか呈示することができなかったため、計画書からやや実験デザインを変更し、単一強化子を用いた課題を行った。この結果、実験2において統制群において長期訓練にも関わらず行動が強化子低価値化の影響を受けるという結果が得られ、損傷効果の解釈が困難となった。原因として、単一強化子を用いたことによって、強化子の低価値化が道具的行動のみならずパヴロフ型条件反応を介して現れたことが考えられる。この点に関しては、本年度新たに液体強化子呈示装置を購入し、再度実験を行う予定である。また、前年度後期からのスタートであったため、実験結果の成果発表にはまだ至っていないが、本年度においてはしかるべき時点で学会および論文での発表を行う予定である。また、本課題において重要となる、条件付けにおいて時間情報を動物がどのように符号化しているかという問題について考察し、その結果を二本の総説論文としてすでに投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」および「達成度」の欄に記した通り、実験課題において複数の強化子を提示する必要があると考えられるため、本年度の予算により新たに強化子提示装置を購入し、実験を繰り返すことで実験1および2の結果に妥当な解釈が得られることが予想される。また、研究計画に記した残りの実験については、T字迷路を作成し、実験を順次遂行していく予定である。また結果が得られ次第、学会発表および論文発表を行う予定である。
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