2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26885080
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
羽山 裕子 国士舘大学, 文学部, 講師 (20737192)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 学習障害 / アメリカ合衆国 / Response to Intervention / Learning Disabilities |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学校現場における学習障害児支援システムであるResponse to Intervention(以下、RTI)に注目し、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)における学習障害研究の蓄積と照らし合わせながらその意義と課題を明らかにすることを目指した。具体的には、現在のRTI研究を過去とのつながりという視点から再検討することと、RTI導入以前の学習障害研究における代表的な論点や人物を明らかにするという二つの作業を行ったうえで、それらをふまえて、RTIがアメリカの学習障害児教育をめぐる議論の流れにどのように位置づくのかを考察することを目指した。 研究を進めた結果、成果として次のようなことが明らかとなった。1)先行研究においてもRTIへの影響が指摘されていた1970年代末~80年代前半のミネソタ大学での学習障害アセスメント研究と、80年代~90年代のアイオワ州での校内問題解決アプローチについて、いずれも関係者がLDサミット(2001年)やRTIシンポジウム(2003年)に招聘されており、RTI導入期の議論に直接的に関わっていたことが明らかになった。2)改訂障害児教育法施行前の2003年のRTIシンポジウムにおいて、既にRTIによる学習障害識別に対する疑問が示されていた。ここで疑問を示した論者たちは、理由として学習障害の神経学的な基盤が十分に考慮されないことを挙げた。3)現在、中等教育段階の生徒を対象としたRTIの在り方が、学力向上政策関連の研究機関によってもRTI支持派の論者によっても模索されていることが見出された。そこでは、学習障害の早期発見の可能性や、通常教育から特別教育へと段階的につないでいく仕組みへの期待は見られなかった。むしろ、学力や行動に課題を抱える生徒たちについて、データによって継続的に進歩の有無を確かめること、彼らに介入指導を提供できることといった点のほうに期待は集まっていた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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