2015 Fiscal Year Annual Research Report
産業規制の制度設計:独占企業による情報の私的保有について
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26885081
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
西村 健 駒澤大学, 経済学部, 講師 (20735229)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / メカニズムデザイン理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政府規制の対象となる独占企業が私的な情報を保有する状況をゲーム理論のモデルとして定式化し、「市場放任」状態と比べて、政府による「情報公開」と「直接介入」の各々の制度的対応が、財配分の効率性と社会構成員間の分配に対していかなる影響を及ぼすかについて明らかにすることである。とくに、市場放任時には、ゲームの均衡で独占企業が選び得るメカニズムの中で「LCS(Least-Cost-Separating)メカニズム」と呼ばれるものを分析の主眼とする。 「市場放任」と「情報公開」の比較については、詳細な解析的結果を導出することができた。とくに、LCSメカニズムの特徴付けにおいて、Roger Myersonが導出した「本質的余剰」(virtual valuation)の類似概念として、「虚偽報告者の本質的余剰」(virtual valuation for the liar)という概念が重要となることを発見した。「虚偽報告者の本質的余剰」は、独占企業にとってのいわばシグナリングコストとなり、「情報公開」と比べて、「市場放任」状態では過少供給問題がさらに深刻化することを示した。その結果、「市場放任」と「情報公開」とを比べると、前者の場合のほうが、消費者余剰および生産者余剰のどちらも低下することが判明した。 また、「市場放任」時の均衡の一意性および精緻化の分析も同時に進めた。結果として、標準的な精緻化概念は本研究ではあまり有効とは言えず、いかなる概念を用いれば適切な精緻化を行うことができるかは、今後の課題として残されている。政府による「直接介入」の効果については、分析を進めることができなかった。 以上の分析結果は論文としてまとめられており、近日中に国際学術誌に投稿する予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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