2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26885082
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
河野 敏鑑 専修大学, ネットワーク情報学部, 講師 (60733813)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 社会保障 / 健康と企業経営 / 格差と健康 / 医療経済学 / 産業保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、職域における所得格差と健康水準との関係について、健康保険組合のデータを用いた実証分析を行うことである。本研究ではとくに、(A)健康保険組合パネルデータを用いた企業グループ内における所得格差の変化および所得格差と健康状態に関する実証分析および(B)リーマンショックおよび東日本大震災が企業グループ内の所得分布や健康状態に与えた影響に関する分析の2つを柱に進めてきた。 平成27年度は、前年度に構築したパネルデータをもとに、リーマンショックや東日本大震災が所得分布の変化に与えた影響について詳細に分析を行った。その結果、男性の労働所得の格差は平成15年から平成26年にかけて一貫して増大し、平成20年には女性の労働所得の格差を上回ったことが明らかになった。ここで、格差の変化を企業内格差と企業間格差に分解し、さらに企業内格差を個々の企業内部で格差が拡大した「純粋効果」と格差の大きい企業の構成比が増大した「構成変化の効果」に要因分解したところ、男性の労働所得の格差拡大は企業内格差の「純粋効果」の増大でほぼ説明がつくことが明らかになった。また、リーマンショックが所得格差に与えた影響としては、男性の雇用者数の減少、平均標準報酬月額の減少が見られ、さらには企業間格差の拡大や企業内格差の「純粋効果」も引き起こされていたことが明らかになった。一方で女性についてはこのような傾向は見られず、労働所得の格差は平成15年から平成26年にかけてほぼ横ばいであり、平均標準報酬月額についても上昇傾向を一時的に抑制したのみにとどまったことも明らかになった。 一方で、本研究ではリーマンショックの反動と東日本大震災の影響を分けて考察することはできなかったが、このことは東日本大震災が労働市場に与えた影響はリーマンショックの影響より小さかったことをうかがわせている。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)