2014 Fiscal Year Annual Research Report
金融機関による資金供給メカニズムとその企業ダイナミクスへの影響に関する実証分析
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26885087
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宮川 大介 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (00734667)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 銀行貸出 / バランスシートチャネル / 金融政策 / 資金需要 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度においては、第一に、企業と銀行のペアレベルデータを構築すると共に、Japan Venture Research社から購入した「未公開企業・調査継続企業ラウンド明細」データを用いて、スタートアップ企業とベンチャーキャピタルのペアレベルデータを構築した。 第二に、構築した企業と銀行のマッチレベルデータを用いて、金融政策が変化した際に、異なる財務属性を有する銀行の貸出額が相対的にどう変化するか、また、金融政策が変化した際に、異なる財務属性を有する銀行「群」と取引関係にある企業のダイナミクスがどの様に変化するかを分析した。当該分析結果については、経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズより「Business Cycles, Monetary Policy, and Bank Lending: Identifying the Bank Balance Sheet Channel with Firm-Bank Match-Level Loan Data」RIETI Discussion Paper Series 14-E-026(細野薫氏との共著、査読無)として公表した。 第三に、構築した企業と銀行のスタートアップ企業とベンチャーキャピタルのペアレベルデータを用いて、両者の属性に関する相関関係(マッチングパターン)を分析した。当該分析結果については、経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズより「共同投資メンバーの構成パターンとその含意:ベンチャーキャピタルによる投資ラウンド明細を用いた分析」RIETI Discussion Paper Series 15-J-009(滝澤美帆氏との共著、査読無)として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
企業と銀行のペアレベルデータを用いた研究成果については、予定していた分析を当初計画通り終えた上で、経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズより「Business Cycles, Monetary Policy, and Bank Lending: Identifying the Bank Balance Sheet Channel with Firm-Bank Match-Level Loan Data」RIETI Discussion Paper Series 14-E-026(細野薫氏との共著、査読無)として公表済みであり、概ね順調に進展している。当該論文については、査読付英文ジャーナル(Journal of Monetary EconomicsもしくはJournal of Money, Credit and Bankingを予定)への投稿に向けた改訂作業を継続中である。 スタートアップ企業とベンチャーキャピタルのペアレベルデータについては、2014年度に購入したデータベースを用いて分析用データセットを構築した上で、2015年度の分析に向けた予備的な分析を行い、経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズより「共同投資メンバーの構成パターンとその含意:ベンチャーキャピタルによる投資ラウンド明細を用いた分析」RIETI Discussion Paper Series 15-J-009(滝澤美帆氏との共著、査読無)として公表済みである。当初計画では2014年度の具体的な計画としてデータセット構築のみを挙げていたが、上記論文の刊行を実現した点は、当初計画を越える進展度合いと評価できる。尚、当該論文については、査読付英文ジャーナル(Journal of Business Venturing)への投稿に向けた改訂作業を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に実施した企業と銀行のペアレベルデータを用いた研究を通じて、分析手法については確立済みである。今後については、2014年度に購入したデータベースを用いて構築済みの分析用データセットへ、2015年度購入予定のデータベースを追加した上で、当該分析手法をスタートアップ企業とベンチャーキャピタルのペアレベルデータに応用した分析作業を進める予定である。併せて、刊行済みの二本の論文については、査読付英文ジャーナルへの投稿に向けた改訂作業を継続する予定である。
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