2014 Fiscal Year Annual Research Report
ガバナンスのルールをめぐる力学の解明――NPO間の中央-地方関係に着目して
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26885091
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 峻 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (40733829)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | NPO / ガバナンス / 中央-地方関係 / 社会運動論 / 中間支援組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家と市民社会、さらには市民社会内部で、ガバナンスのルールをめぐってどのような正統性争いが生じているのかを解明することにある。この目的のもと、特定非営利活動促進法(NPO法)制定・改正過程を中心に、中央/地方の両面から実証的な検討を進めている。平成26年度は以下の課題に取り組んだ。 1.理論枠組みの検討:政治学における中央-地方関係に関する議論、社会運動論における運動間連携に関する議論、NPO研究における中間支援組織に関する議論などを検討し、本研究の枠組みの構築を進めている。このうち社会運動の連携に関しては、『Strategic Alliances』の書評論文を共著で執筆した。 2.東京調査:NPO法制定・改正への中央の市民団体の関与について調査を進めている。平成26年度は、NPO法制定・改正で中心的役割を果たした立法運動団体の資料を分析するとともに、NPO法制定に関わった福祉系団体の関係者および芸術・文化系団体の関係者に聞き取りを行った。この成果などを踏まえて、NPO法制定過程における立法運動の組織間連携の要因とその帰結を分析し、日本NPO学会で報告を行った。報告では、NPO法以前からの市民団体の連携経験が立法運動の組織間連携に活用されたこと、国会で議論が本格化してからは争点をめぐって分野間の連携に障壁があったこと、参議院での法案通過を前にした連立政権の解消という危機が存在したときに大きな連携が形成されたこと、などが明らかになった。また、現在進行しているNPO税制の見直しをめぐる動きに関して、集会・勉強会に参加して資料を収集した。 3.地方調査:NPO法制定・改正運動への地方からの関与について、地方の中間支援組織を対象とする調査を進めている。平成26年度は予備調査として、広島県の中間支援組織の関係者に聞き取りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は理論枠組みの検討と、東京での調査を進めるとともに、地方調査の予備調査も実施し、これらの成果の一部を書評論文および学会報告で発表することができた。また、平成27年度税制改正で認定NPO法人の優遇税制の見直しが浮上したことを受けて、その動向も把握することができた。このように、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、以下のように研究を推進する。まず、理論枠組みを彫琢するため、政治学・社会運動論・NPO研究の検討を引き続き進める。次に、本研究の仮説を地方から検討するため、NPO法制定・改正に関与した地方の中間支援組織への資料収集および聞き取り調査を行う。現段階の具体的な調査対象としては、北海道、宮城県、新潟県、茨城県、福岡県などの中間支援組織を候補としている。これらの調査をもとに、学会報告や論文執筆を進めて、2年間の研究成果の取りまとめを行う予定である。
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Research Products
(2 results)