2014 Fiscal Year Annual Research Report
覇権と秩序をめぐる地政学的研究:現代中東における「アメリカの覇権」とその趨勢
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26885105
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
溝渕 正季 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (00734865)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 中東政治 / 地政学 / 国際安全保障 / グローバル・テロリズム / 対テロ戦争 / アメリカ / イスラーム主義 / 軍事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「アメリカが世界に対してどのように関与すれば、世界はもっとも安定的な安全保障・ 平和的秩序を維持できるのか」という問いを検討することである。この問いに対して本研究では、地政学という要素を重視し、国際政治理論の観点からの抽象的な議論に加えて、緻密な一次資料解析とフィールド調査を組み合わせることで、上記の問いに対して理論・実証両面から検討を加えている。
これまでの研究により、第二次大戦以降、現在に至るまでのアメリカの対中東政策についての歴史については、概ね文献調査を終えた。また、現在進行形の問題(アメリカの対「イスラーム国」軍事作戦など)については、日刊紙やオンラインで入手可能なレポート等を逐次読み込み、データベース化している。また、この点に関する部分的な分析を「米国の『対イスラーム国』軍事作戦をどう評価するか?」と題した論文をまとめ、『中東研究』(公益財団法人中東調査会)第523号から2015年5月末に刊行予定である。
また、アメリカの対中東政策を受けて、中東諸国や中東地域の非国家政治主体がどのような反応を示したのか、彼らの戦略とはどのようなものであるのか、という問いについても、現在リサーチを進めているところである。これについては、レバノン・ヒズブッラーの政治・軍事戦略が記された各種文書を邦訳し、さらに解説を付した書籍(高岡豊・溝渕正季『ヒズブッラー:抵抗と革命の思想』現代思潮新社、2015年)をまずは上梓した。同様の書籍を今後も出版していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究第1年度目の本年(平成26年度)は、主として資料・文献渉猟にあてられた。したがって、必然的に発表した論文の数は少なくなっているが、それは期待ほどの研究が進まなかったことを意味しない。平成26年度には数多くの研究著書・論文を読み込むと共に、貴重な資料を多く入手し、データベース化し、その一部の翻訳も手掛けることができた。また、これらのデータを現在論文として発表する準備も着々と進めている。本年における蓄積は、来年度以降のアウトプット作業において、大いに役立つと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究第2年度目をむかえる平成27年度においては、採用第1年度目に読み込んだ文献や先行研究を元に、蓄積した膨大なデータを分析すると共に、それを論文や研究発表というかたちで発表していく。なお、平成27年度においては、既にいくつかの国内外の学会発表(日本政治学会、国際安全保障学会、The Centre for Syrian Studies (CSS) Conference on “Syria: Moving Beyond the Stalemate,” など)が決定しており、いくつかの論文、そして単著も目下執筆中である。
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