2014 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ、中国、日本における日系自動車部品メーカーのグローバル経営構造比較
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26885107
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
根本 宮美子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60737617)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 社会学 / ハイブリッド経営 / アメリカ / 現地経営 / 日系自動車部品企業 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は1990年代以降アメリカで導入の進んだリーン生産方式関連の経営労働問題点を中心に、日本とアメリカのハイブリッド経営及び雇用の実情と問題点等についてデータを整理した。そして、調査対象である日系グローバル企業A社のハイブリッド経営の問題として、アメリカの現地社員や従業員に対して、A社が、日本的経営慣行の適用を試みたが、現地社員の抵抗、生産性の低下、経営状態の悪化に直面しているというケースを労働社会学視点から分析した。その結果として、米国において日系ハイブリッド経営が直面している困難と原因を論じた英語論文を作成した。以下の論文はアメリカ社会学会に投稿し査読を経て2015年シカゴにて発表することが決定している(Adaptation and Competition: Worker/Management Dynamics in a Japanese Auto Parts Company in the United States)。 全体の進展については、研究の日米の自動車産業の比較についての膨大な歴史の整理、日系アメリカ自動車関連企業の経営の歴史,そして、社会学・労働の分野におけるアメリカ製造業の衰退と労働者をめぐる文献のレビューに時間がかってしまい、論文の作成に予定より長い時間を費やす結果となった。現在は日系部品企業A社の経営の悪化の要因を、(1)アメリカ人従業員とアメリカ人マネジメント、(2)アメリカ人従業員と日本人マネジメント、(3)アメリカ人マネジメントと日本人マネジメントの3層の対立という視点から分析を進めている。特にエンジニアとメインテナンスの対立、不良品の処理課程の問題、リーン生産方式のアメリカ工場における機能不全の現象に焦点をあてている。そして、従来日本にもアメリカの研究にも見られなかったジェンダーを視点から自動車部品企業の現地経営の困難を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、1年目においては社会学、労働学、経営学における多様分野におけるデータ分析を終了させ、英語査読論文を少なくとも2本、社会学のジャーナルに投稿する目標を掲げていたが、現在まだデータ分析とジェンダーと人種の分野からさらに先行研究をレビューしており、学術雑誌への論文の投稿がなされていない状態にある。この遅れは、アメリカ製造業とくに自動車産業について社会学、労働研究の先行研究の量が膨大であることから専攻研究のレビューに予定よりかなりの時間を費やさざるを得ないという状況によるものである。しかし今までなかったジェンダーの重要で斬新な視点を取り入れた社会学の論文を作成しており査読ジャーナル投稿へ向けて論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、自動車製造業における日米の国境を超えたハイブリッド経営の問題点をジェンダーの視点と日米の労働市場の差異、経営制度の差異から分析した論文を英文ジャーナルに投稿する計画である。その後、さらに日本と中国の経営と雇用の実証データの収集に取りかかる予定である。
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