2014 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャーキャピタル(VC)によるシンジケーションと投資リスクに関する実証分析
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26885114
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
幸田 圭一朗 広島経済大学, 経済学部, 助教 (10734006)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 経営学 / ベンチャー企業 / ベンチャーキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初の研究計画にしたがって,理論やデータの整理を中心としてきた.特に,研究の枠組みとしてのシンジケーション(ある企業に対して,複数の投資家が共同で投資を行うこと)に関する理論(Lerner 1994;Brander,Amit and Antweiler2002など)を整理し,合わせて,分析データの収集を実施したものである.その後,予備的な考察として,研究発表も行った. 具体的には,ベンチャーキャピタル(VC)を含む投資家が行うシンジケーションの状況を整理しながら,過去の投資からそれぞれの投資家におけるリスク指標を作成し,各ベンチャー企業にどのような投資を行っているのかを明らかにした.本年度の調査では,投資の集中度をリスク指標として,金融機関によるシンジケーションとの関係が有意であったが,VCのシンジケーションについては当てはまらないのではないかということを示している. この検証結果は,本研究全体における一部として,VCによるシンジケーションがリスク分散を目的としていることについて,異なる結果の示唆を与えるものであり,次年度には,他のリスク指標による検証が急務であると考えられる.また,今回の検証のように投資時点の情報まで用いた研究は,従来の日本を対象にしたベンチャー投資の実証研究においてはまだ珍しいものであり,実務的な立場からも重要なインプリケーションとなるものであろう. また,これらは,さまざまな研究者から,いくつかの意見を頂戴する契機となっている.その過程において,データの再検証の必要性や他のリスク指標による検証など,いくつかの解決すべき課題も明らかになっており,次年度に向けて必要な策を講じることとしたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,申請時に計画した研究スケジュールに合わせて,いくつかの論文や文献,さらにはコーポレートファイナンスの基礎的なテキストなどを通じて,リスク分散の基本的な理論について整理を行った.また,データ収集については,投資家側,いわゆるVCベースのデータセットの構築を行い,それぞれの投資家についてのリスク指標の策定を試みている. また,本研究の方向の妥当性を検証することを目的として,平成26年度内において,予備的考察を行った論文を発表し,いくつかの指標の中でも,特に,投資の集中度を用いたリスク指標からの分析を行っている.そのうえで,さまざまな研究者から,いくつかの意見を頂戴しながら,適切なリスク指標など再検討を行い,それらをまとめたものについての研究会報告も実施している. その後,今回のデータの出所である株式会社Japan Venture Researchにてヒアリング調査を実施したところ,近年のIPO市場を踏まえた動向と,今回の予備的分析で行ったデータの範囲に多少の差があることが明らかとなり,データの再収集も急がれている. 以上より,アウトプットである予備的考察の論文化,ならびに,途中経過の研究会報告など申請時に計画した研究スケジュールについてはおおよそ達成しており,データの再収集も,事前に想定していた範囲であることから,「おおむね順調に進展している」との自己評価とする.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の検証結果としては,ベンチャーキャピタル(VC)を含む投資家のシンジケーションと投資の集中度を指標としたリスク分散の関係について,予備的考察を行ったものであるが,金融機関とVCとの間で検証結果に差が発生しており,VCに至る仮説については支持されない可能性が示唆されている.したがって,他の仮説による補強も行いながら,VCがシンジケーションを行う理由について慎重な考察を行っていくとともに,投資の集中度とは異なる他のリスク指標による検証をもって,VC投資とVCの金融的側面との関係を明らかにしていきたいと考えている. また,これまでの予備的考察をもとに実務的な意見やアドバイスを頂くため,データの出所である株式会社Japan Venture Researchにて,年度末にヒアリング調査を実施したところ,近年のIPO市場の活況を踏まえた動向を考慮する点において,本研究で実施しているデータの範囲との間に多少の差があることが明らかとなり,2014年度までのデータの再構築も急がれている.したがって,データセットの数を増やすなどの再収集を2015度夏までの間に完成させ,再度の実証分析の予定もしている. そのうえで,それらの検証結果を踏まえ,取りまとめたものを学会発表,もしくは論文の作成を行い,研究の完成を目指すものとする.
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Research Products
(2 results)