2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26885122
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Research Institution | Tokyo Seitoku College |
Principal Investigator |
永井 優美 東京成徳短期大学, その他部局等, 准教授 (30733547)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 幼児教育史 / 保育者養成 / キリスト教教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日、保育者養成制度および保育者養成の質保証に関する議論が盛んになされ、幼稚園教諭免許と保育士資格の一体化が目指されている。保育者にまつわる制度が改正されつつある今こそ、保育者の専門的力量形成に関する基礎研究が必須である。本研究は、比較教育史研究の手法を採り、アメリカの教育情報がかつて日本にどのように導入されたのかを分析し、それに基づいて行われた保育者養成の実態と特質を考察することで、普遍的な保育者の専門性の内実を解明することを目的としたものである。 戦前日本の幼児教育及び保育者養成は、とりわけアメリカの影響を強く受けて発展してきた。しかし、そもそもアメリカ幼児教育・保育者養成史に関する実証的な研究はほとんどなされておらず、未だこの分野に関しては総体的にも個別事例においても明らかにされていない状況である。戦前日本の幼児教育・保育者養成の特質を考察するには、特に1890年~1930年代のアメリカにおける幼児教育・保育者養成の動向を把握しなければならない。そこで、本年度、まずアメリカのボストンにいおいて当時のアメリカの幼児教育・保育者養成の動向を調査した。 また、幼児教育情報の伝達には、その仲介者の役割が重要になってくる。本研究では戦前日本において数回に亘りアメリカに幼児教育留学を果たした人物である甲賀ふじに着目した。甲賀の研究活動とそれによってわが国にもたらされたアメリカの教育情報の具体を明らかにするための基礎研究として、本年度は甲賀ふじの生涯と果たした役割に関する調査を行った。 その他、わが国の保育者養成に関する史的研究の成果を公表した(学会発表および論文投稿)。また、保育者養成と保育実践の有機的な関連性の視点からも論文を一本発表した。したがって、アメリカの幼児教育・保育者養成と日本のそれとの比較教育史研究を保育者の専門性というテーマのもと進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予算が執行されてすぐにアメリカのボストンにおいて1890~1930年頃のアメリカの幼児教育・保育者養成に関する調査を行うことができた。したがって調査資料の分析にもすぐに着手することができ、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。 研究に必要な備品や書籍などの購入も随時行い、研究環境が整備されたため、比較的順調に全体計画が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、日本への幼児教育情報受容及び普及のキーパーソンとなった日本人指導者三名に注目し、三者がわが国の幼児教育・保育者養成に果たした役割を検討することとしている。その中の一人である甲賀ふじに関しては研究が蓄積されたため、今年度学会発表および論文投稿を計画している。また、他に頌栄保姆伝習所の和久山きそ、ランバス女学院保育専修部の高森ふじに関しては、先行研究の収集や基礎調査は終了したが、本年度において本格的に資料の収集・分析を行っていく予定である。 また、あわせてアメリカにおける幼児教育・保育者養成の状況調査のために海外調査を一回程度行う計画である。これらの調査結果を統合し、保育者の専門性に関して比較教育史的視点から考察を行う。
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