2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26886010
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
水野 斎 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (60734837)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 有機光機能材料 / 有機半導体 / 光物性 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. シアニン色素J会合体の作製及び薄膜化 シアニン色素メタノール溶液とPVS-K水溶液を混合して攪拌することにより,シアニン色素溶液を作製した。混合溶液を作製する際,PMMAやPVAといった一般的なポリマーも使用したが,PVS-Kを用いた場合では,吸収スペクトルが最もシャープであり,かつJ会合体が低色素濃度で形成されることを見出した。また,色素溶液をガラス基板上にスピンコートする際,スピンコーターの回転数や回転維持時間を変化させた結果,100-400nmの膜厚を有する薄膜を得た。 2. 銀薄膜共振器の作製 ガラス基板上に銀を50nm真空蒸着することにより,銀薄膜を得た。この薄膜の表面状態を調べるためにAFM観察を行ったところ,活性層に用いるシアニン色素の共振波長の10分の1以下のフラットネスを有する銀薄膜であることがわかった。また,この銀薄膜の反射率を調べた結果,シアニン色素の光吸収エネルギー領域において約59%の反射率を持つことがわかった。共振器は,色素薄膜をこの銀薄膜で挟むことにより構成される。 3. 共振器ポラリトンの観測 約400nmの膜厚を有するシアニン色素薄膜を活性層として用いた微小光共振器の角度分解透過スペクトル測定を行い,共振器ポラリトンに見られる特徴的な分散関係を得た。また,上枝・下枝ポラリトンの分裂エネルギー差であるラビ分裂エネルギーは,約200 meVと高い値が得られた。今後,より高濃度の溶液を用いるか,またはJ会合体の会合状態を制御することにより,さらに大きなラビ分裂エネルギーが得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な目的である作製条件の確立・最適化を達成し,共振器ポラリトンの観測まで到達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
約400nmの膜厚を有するシアニン色素薄膜を活性層として用いた微小光共振器において,約200 meVと高いラビ分裂エネルギーが得られたので,1)膜厚をλ/2とする微小共振器作製,2)高色素濃度溶液の使用や3)J会合体の会合状態制御を通したラビ分裂エネルギー制御を行うことにより,励起子ー光子相互作用の制御を試みる。
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Research Products
(8 results)