2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26886016
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村田 正行 独立行政法人産業技術総合研究所, 省エネルギー研究部門, 研究員 (80717695)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ナノワイヤー / 熱電変換素子 / 量子効果 / ビスマス / ナノ電極接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、未利用廃熱の有効利用を目指した高効率熱電変換材料の開発を進めている。熱電変換材料をナノワイヤー形状にすることで、量子サイズ効果の導入に伴ってエネルギー変換効率が大幅に向上すると理論的に見込まれている。これまでに、石英ガラス製のテンプレートを利用して直径数百ナノメートル級のビスマスナノワイヤーを開発し、その熱電物性の測定を行ってきた。その結果、直径160nm級のビスマスナノワイヤーにおいて熱起電力の向上が示唆される結果が得られた。しかし、量子サイズ効果が導入されると予想される直径50nmに比べて大きいことから、その原因の解明が求められる。 そこで、本研究では極低温・強磁場での物性測定によるフェルミ面や散乱因子の評価を進めている。当該年度には、熱起電力や電気抵抗率などの熱電物性測定に必要となる、適切なオーミック電極を直径160nm級ビスマスナノワイヤーへ作製するプロセスの確立を進めた。研磨プロセスを改良する事で以前から問題になっていた残留研磨剤を除去し、ナノワイヤー端部を平滑に研磨する手法を確立した。しかしながら、ナノワイヤー端部に電極用の金属薄膜を成膜すると、極低温領域で良好な電気的接触を維持することはできなかった。研磨プロセスだけではなく、電極接合プロセスにも改良が必要であることが分かった。 また、当該年度から所属が変わったことから、ビスマスナノワイヤーの熱電物性を試験的に測定する為の装置を新たに立ち上げる必要があった。そこで、スターリング式冷凍機を利用したクライオスタットを作製し、マイナス120度までの温度範囲で熱起電力とゼーベック係数等の熱電物性を評価する熱電物性測定装置を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直径160nm級のビスマスナノワイヤーの極低温・強磁場中の測定を行う予定であったが、石英ガラス中の直径160nmという非常に小さいナノワイヤーへ4Kから300Kの温度範囲で適切なオーミック電極を作製するプロセスを確立することができなかった。研磨プロセスの改良だけでは適切な接触を得ることができなかったため、今後すべての電極を集束イオンビーム加工による電極作製プロセスを試みることで、ゼーベック係数を含めた熱電物性評価を同時に行う手法を確立する。 一方、集束イオンビーム加工を利用する環境や、熱電物性を測定する為の評価装置を開発したことから、当該年度から所属が変わったものの研究遂行の為の環境を整えることができ、次年度以降が研究を加速できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、直径数百ナノメートルの比較的大きなビスマスナノワイヤーの端部電極はCMP研磨とイオンプレーティングによる金属薄膜の成膜のみで適切な電極接合が得られていたが、直径160nmという非常に小さい直径のビスマスナノワイヤーでは研磨プロセスのみでは適切なオーミック電極の作製が実現しなかった。そこで、すべての電極について集束イオンビーム加工を利用した電極作製プロセスの確立を行う。そして、適切な電極が得られた上で極低温・強磁場における電気抵抗やネルンスト電圧の測定を行い、ビスマスナノワイヤーのフェルミ面の解析を行う。 また、磁場効果を利用したエネルギー変換効率の向上にも取り組む。磁場効果は細径のワイヤー形状にすることによって大きく現れると予想されることから、磁場中の熱電物性を実験的に評価する。
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Research Products
(5 results)