2014 Fiscal Year Annual Research Report
磁性金属における電圧誘起磁化反転の低電圧化に向けた研究
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26886017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
塩田 陽一 独立行政法人産業技術総合研究所, スピントロニクス研究センター, 研究員 (70738070)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 電圧誘起磁気異方性制御 / 磁化反転 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピントロニクス分野では現在、次世代不揮発性メモリデバイスとしてMRAMの開発が進んでいる。ところが現在の書き込み手法は電流駆動型でありジュール熱損失など大きな電力を消費してします。そこで、本研究ではすでに実験的に実証さている電圧駆動型の書き込みである電圧誘起磁化反転の低電圧化を目的に研究を行っている。 申請者は本プロジェクトが始まる前までに面内磁化型のトンネル磁気接合素子において電圧誘起磁化反転の実証には成功していた。本プロジェクトの初年度においては垂直磁化型のトンネル磁気接合素子において電圧誘起磁化反転の実証を目指して実験を行った。 まず自由磁化層の材料はFeBに固定し、キャップ層の材料としてTa,W,Irにして電圧効果を評価した。Irは加熱処理に対する拡散が大きく、磁気抵抗効果および電圧効果が観測できなくなった。一方、Wは加熱処理に対して拡散が小さく、Taよりも熱耐性が良いことが分かった。さらに磁気抵抗効果および電圧効果の観点からもWキャップが一番適していることが分かった。 次にWキャップの素子において、電圧誘起磁化反転の実験を行った。すると1.2Vの電圧に対して磁化反転を観測することができた。この磁化反転の反転確率はパルス幅に対して振動することから、電圧誘起磁化反転であるという事が確認できた。またエラーレートを評価するために新たな電気回路を設計することで、50kHzの周期で磁化反転を評価することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直磁化系でのトンネル磁気接合素子において磁化反転に成功しており、当初の研究目的を達成するために順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより電圧効果の大きな材料を用いて電圧印加磁化反転の低電圧化を目指す。具体的にはMBE法により成膜した素子では1.5倍程度の電圧効果がすでに観測されているので、この素子を利用することで電圧の低減を図る。またシミュレーションとも組み合わせて、最適な条件の探索も行う。
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