2015 Fiscal Year Annual Research Report
中期完新世における北半球中緯度の日射量変化と北西太平洋の海洋環境変動
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26887005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高柳 栄子 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40729208)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | シャコガイ / 炭素同位体比 / 酸素同位体比 / 微量金属元素濃度 / 日射量変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
完新世における日射量変化は地球軌道要素スケールの気候変動と密接に関係し地球表層環境に直接的影響を及ぼしてきたことが明らかになっているが,同日射量変化と短時間(数年~数百年)スケールの気候変動との関係はほとんど明らかにされていない.本研究では,沖縄諸島南琉球海域より採取されたオオジャコ化石の成長線解析ならびに化学組成(炭素・酸素同位体比,Sr/Ca比など)を用いて,生息当時の日射量変化ならびに海洋環境変動を日~年単位で復元することを目的とした. 平成27年度は,オオジャコ化石の微量金属元素濃度分析(Ca,Mg,Sr)を中心に行い,北西太平洋中緯度における中期完新世の古水温を検討した.微量金属元素濃度分析用の試料は,炭素・酸素同位体分析を行った試料の採取地点とほぼ同一地点から採取し,2%の硝酸溶液に溶解した.サブスタンダード試料には,産業技術総合研究所・地質調査総合センターの提供する地球化学標準試料JCt-1(オオジャコ化石)を用い,同試料の繰り返し測定による結果から,測定精度の算出ならびに測定値の補正を行った.微量金属元素濃度分析を行った結果,オオジャコ化石のSr/Ca比は成長段階によって変動プロファイルが異なることが示され,特に成長速度の速い成長初期段階のSr/Ca比は生息息の海水温よりも生態的な影響を大きく反映している可能性が高いことが明らかとなった.一方,成熟期のSr/Ca比は,現生オオジャコ殻を用いた先行研究の知見(Yan et al., 2013)から生息当時のSr/Ca比を反映していると期待されたが,本研究で用いた化石試料のSr/Ca比のプロファイルには明瞭な季節変化はみられず,試料が採取された南琉球周辺の水温の季節変化から推定されるSr/Ca比の変動幅と比較して振幅が小さかった.分析手法ならびに続成作用の影響を考慮し,今回得られた結果の原因を検討する必要がある.
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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