2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26887014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河瀬 康志 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (90734559)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 理論解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,トレードオフのある最適化問題に対する解の品質保証をするための統一的な手法の確立を目標とし,まずはその準備として,以下のように具体的な問題について解析をおこない,適用できる手法について理解を深めた. 本年度は,まず,キャンセル可能なオンラインパッキング問題について解析を行った.キャンセルができるオンライン問題は,売買契約やスケジューリングなどの文脈で広く研究がなされているものである.本研究では特に制約が区間パッキング問題と集合パッキング問題に着目し,それぞれに漸近的にタイトな競合比評価を与えた.さらに,コストを払うことでキャンセルができる小数ナップサック問題に対し,タイトな競合比を得た.この結果は主双対法を用いた解析によるものであり,主双対法をキャンセルコストのあるオンライン問題に対して適用した初の成功例であるといえる.今後は別の制約や整数性のある場合の問題や被覆問題の場合についての解析を進める. また,目的関数がpノルムで与えられるような多目的最適化問題について解析を行った.特に制約条件がk交換可能な独立性システム(k個のマトロイド交差を含むような広いクラス)の場合について,最大化問題と最小化問題の両方の場合を考察し,タイトな評価を得た.pノルムでのα近似解(α>1)がqノルムの意味でどの程度の良い解であるかについても調査を行い,p≠qの場合には,最悪の場合いくらでも悪い解になりえることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャンセル可能なオンライン詰め込み問題についての解析は,当初の計画通り一定の成果を得られた.また,主双対法を用いた解析技法を拡張することに成功している.目的関数が劣モジュラ関数の場合の解析は,別の研究グループにより先を越されてしまい,計画の変更が必要となった.目的関数がpノルムの場合で与えられる多目的最適化については計画を前倒しして成果を得ることができた.以上のことからおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に詰め込み問題と被覆問題に対する研究を両面から進めていく.特に主双対法の有用性を明らかにすることを目指す.この際,小数ナップサック問題という単純な設定の場合については,キャンセルコスト有りの場合にも主双対法が有効であることがすでに得られているので.この手法の一般化を試みる.
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