2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子核物理と応用物理のための核反応断面積測定とモデル構築
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26887016
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武智 麻耶 新潟大学, 自然科学系, 助教 (40570172)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 反応断面積 / 核データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線防護や癌治療計画等に必要な、PHITS や FLUKA といったビーム輸送シミュレーションの結果を左右する重要な入力パラメータである重イオン反応断面積計算モデルの検証を行うため、核子当たり数十から数百 MeV のエネルギー領域における、鉄や鉛等の原子核核反応断面積の系統的なデータを測定する。また、軽い原子核で成功している反応断面積計算モデルである Glauber モデルの、中重から重核領域での適用性を測定されたデータをもとに検証し、理研・RIBFや GSI・FAIR 等における最先端の不安定核研究での使用に耐えるものに拡張することも本研究の目的である。初年度は核反応断面積測定のための準備を進めた。反応断面積測定の粒子識別は Si 検出器と NaI(Tl) シンチレーション検出器からなる ΔE - E カウンターテレスコープを用いて行う予定で、検出器の準備を進めた。2015 年度 12 月に放射線医学総合研究所重イオンシンクロトロン加速器施設(HIMAC) で検出器テストを行った。その結果、 NaI(Tl) シンチレーション検出器から得られる波高スペクトルに、ビームの入射位置依存性および停止位置依存性が見られたため、反応断面積測定装置をCsI(Tl) ΔE 検出器を併用した実験セットアップに変更し、必要な粒子識別分解能を達成する方針をとることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NaI(Tl) シンチレーション検出器へのビーム入射位置および結晶内でのビーム停止位置によって得られる信号のパルスハイトに変化が生じるという事態が判明し、改善策を講じていたため研究の進行に若干の遅れが出たが、当初の研究終了予定時期を逸脱するほどの遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、反応断面積測定実験に用いる予定であったSi 検出器と NaI(Tl) シンチレーション検出器からなる ΔE - E カウンターテレスコープに変更を加え、CsI(Tl) ΔE 検出器を併用し、粒子のエネルギー検出を必ずしも NaI(Tl) のみに依らない新しい実験セットアップを考案し、2016 年度に反応断面積測定実験を実施、得られたデータの解析と原子核反応断面積モデルの検証を行っていく。
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