2014 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀全球海上風データセットの作成と気候変化研究への応用
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26887023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時長 宏樹 京都大学, 白眉センター, 准教授 (80421890)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 気候変動 / 気候変化 / 大気海洋相互作用 / 海上風 / 船舶観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
International Comprehensive Ocean-Atmosphere Data Set (ICOADS) Release 2.5 の海上気象観測データを使用して、20世紀前半における海上風の変動および長期変化傾向を調べた。海面気圧データを用いて物理的な整合性を検証した結果、観測データが豊富に存在する北太平洋や北大西洋では、概ね整合的な変動および変化傾向を見出すことができた。 一方、熱帯海洋は北半球中緯度海洋と比較して 20世紀前半において著しく観測数が少ない。そこで主要船舶航路で観測された海上風データを解析した結果、熱帯域で卓越する経年変動や10年規模変動などはよく捉えられていることが分かった。 これらの解析結果は 2015年5月に開催される複数の学会にて研究発表をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
20世紀前半の海上風観測は Beaufort 風力階級をベースにした目視観測が大半を占めている。そのため、研究対象によってはデータの精度や品質が問題になることがあるが、平成26年度の解析によって、20世紀前半の海上風観測データが本研究で着目している気候変動を解明する上で貴重なデータであることを確認できたことは、進展と言える。また20世紀前半の長期的な海上風変化に関しても、20世紀後半に顕著だった風速計高度上昇による風速増加傾向のような人為的に時間変化する観測系統誤差が小さいことが分かった。一方 、風速計観測データと Beaufort 風力階級による観測データの間には無視できない程度のギャップが残っており、そのギャップをどのように小さくするかが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
風速計観測データと Beaufort 風力階級による観測データの間に見られるギャップに関しては、風速計観測と目視観測が混在する年代で、海面から 10m 高度を基準として補正量を算出する。 さらに、20世紀前半は熱帯海洋や南半球の海洋上で観測が少なく、限られた観測から全球データセットを再構築する必要があるため、今後は全球的に観測数が多い年代に対して主要変動モードを統計解析によって抽出し、それらを用いた空間補間法を適用して、全球データセットを作成する。
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